ラムサール通信
2013年4月16日発行 第157号


●RCJ第23回総会・第91回ワークショップのお知らせ●

ラムサールセンター(RCJ)第23回総会を下記のとおり開催します。RCJが誕生した1990年は、ラムサール条約第5回締約国会議(COP5)が、北海道・釧路市で開催されることが決まった年です。そのCOP5開催(1993年)から今年で20年。7月には釧路市を中心に記念イベントが催されるほか、93年にラムサール条約に登録された5つの湿地(厚岸湖・別寒辺牛湿原、霧多布湿原、谷津干潟、片野鴨池、琵琶湖)でもさまざまな記念行事がおこなわれる予定。ラムサールセンターも、「ラムサール条約釧路会議+20」シンポジウムや、「ESDのためのKODOMOラムサール<釧路湿原>」の実施で協力します。
まさに「ラムサール・イヤー」となる今年、創設23年を迎えるRCJの目標と使命はどこにあるのか、みなさんとともに改めて考えたいと思います。多くの会員の参加を要請します。
総会後は引き続き、第91回<ワイズユース>ワークショップを開催します。90年代以降の地球環境の直面する課題、条約の効果と限界、これからの展望など、さまざまな角度からの問題提起にご期待ください。


◆ラムサールセンター第23回総会◆
     
と き:2013年5月19日(日) 午後2時〜3時30分
ところ:東京・市ヶ谷「JICA地球ひろば」2階 大会議室
        新宿区市谷本村町10-5 電話:03-3269-2911
        JR/地下鉄「市ヶ谷」下車、徒歩10分。 
        地図:http://www.jica.go.jp/hiroba/about/map.html

◆第91回<ワイズユース>ワークショップ◆
〜地球環境条約と日本の20年〜

と き:2013年5月19日(日) 午後3時45分〜5時45分
ところ:総会(上記)の会場で、引き続きおこないます。
  話題提起(予定):「日本におけるラムサール条約の履行」岩間徹(西南学院大学教授)
「CITESのいま」安藤元一(東京農業大学教授)
「地球温暖化バッシングをめぐって」藤倉良(法政大学教授)
    ※ 会員からの近況報告、情報提供もあります。
※ 終了後は恒例の懇親会です。



ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流<ナコンサワン>報告

 

 2013年1月1113日、「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流<ナコンサワン>」(地球環境基金助成)が、タイの大河チャオプラヤ川の源流の都市、ナコンサワンで開催されました2012年1月の「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流<チェンマイ>」に引き続き「ESDのためのKODOMOラムサール実行委員会」とチェンマイ大学が主催、さらにナコンサワン・ラジャパット大学、マヒドン大学が共催しました。今回はとくに、バンコクに事務局をおく国連環境計画アジア太平洋地域事務所(UNEP/ROAP)がパートナーになり、所長のYoung-woo Parkさんがバンコクから、スカイプで子どもたちに歓迎のメッセージを送る、という特別プログラムも実現しました。

日本から参加した子ども代表は、谷津干潟(1人)、藤前干潟(7人)、円山川下流域・周辺水田(1人)、琵琶湖(4人)の13人。タイからはチェンマイ(8人)、ランパーン(3人)、ナコンサワン(10人)のほか、ラムサール条約湿地のサムロイヨー湿地(2人)、ドンホイロー湿地(2人)、積水化学工業タイ代表(3人)の子ども28人が参加しました。

ナコンサワンには、タイ北部最大の淡水湖ブンボラペ湿地があります。下流域を洪水から守る遊水地として、渡り鳥の有数の越冬地として、また流域の農業、漁業、生活用水として、多面的に利用され、人々の暮らしとの関わりがとても強いところです。子どもたちは、ピンクのスイレンが一面に咲くブンボラペ湿地や、上流から流れ下る複数の支流が合流してチャオプラヤ川となる源流点を訪れてフィールド学習をしたあと、グループにわかれて、自分たちがみつけた「ナコンサワンの宝」についてディスカッション。最終日12日の全体会議では、通訳ボランティアの力を借りながら日本語とタイ語で熱い議論を交わし、最終的に9つの「ナコンサワンの宝」を選びだしました。

なお日本からは、川嶋宗継、名執芳博、佐藤真久、中村大輔の実行委員はじめ、中村玲子、亀山保、市川智子、大原みさとのRCJスタッフ、川嶋邦子、中村聡子、山本正岳、宮崎理絵、尾崎友紀、小松慎一郎、久保陽介、大野健太のボランティアが参加し、活動に協力しました。

  ブンボラペ湿地の自然観察        ディスカッションに活発に参加する子どもたち



   ●「荒尾干潟のワイズユースを考えるシンポジウム」報告●
 
「荒尾干潟のワイズユースを考えるシンポジウムが、2013年2月2日、熊本県荒尾市で、環境省九州地方環境事務所と荒尾干潟保全・賢明利活用協議会の共催で開催され、RCJが協力しました。荒尾干潟は、長崎、佐賀、福岡、熊本にまたがる有明海の一角、熊本県荒尾市沿岸に横たわる1656ヘクタールの干潟で、そのうちの754ヘクタールが、2012年7月、ラムサール条約に登録されました。シギやチドリの有数の中継地として、また、ノリやアナジャコはじめ豊富な海産物で、地元の暮らしを支えています。この荒尾干潟の賢明な利用と地域の発展を行政、NGO、研究者、市民などみんなで考えようと、開かれたものです。
西南学院大学の岩間徹さん(RCJ副会長)が「ラムサール条約のねらい」について、長崎大学大学院教授の山口敦子さんが「有明海の価値と干潟の海の魚たち」について基調講演。先輩のラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」(北海道)から松原正勝さん、「漫湖」(沖縄県)から賀数弘さんが、先進事例を紹介。また、昨年11月の「ESD-KODOMOラムサール<藤前干潟>」に荒尾干潟を代表して参加した荒岡優香さん(荒尾第一小学校6年)が、参加報告をしました。
漁業組合や日本野鳥の会、観光協会など、地元のさまざまな立場の人がパネリストとして参加し、活発な意見交換をしたシンポジウムには、長崎県や佐賀県から駆け付けた人たちもいて、参加者300人の盛会でした。


会場は補助いすを出すほどの盛況                 荒岡優香さん




 ●「ESD-KODOMOラムサール」へ学生バードソンから、寄付76万円●
 「『ESDのためのKODOMOラムサール』に使ってください」と、「NEC学生バードソン2012実行委員会」から、763,286円の寄付をいただきました。バードソン(Birdathon)は、チームを組んでバードウォッチングをし、1日に何種の野鳥を発見できるかを競いながら、寄付を集めるチャリティイベント。もともと英国生まれのゲームですが、日本ではフィールド・アシスタント・ネットワーク(FAN)という学生ボランティア団体が中心になって年に1回開催、集まった寄付を自然保護団体に寄付する活動をもう20年間つづけています。
 そのNEC学生バードソンの2012年度の寄付先に、RCJの「ESDのためのKODOMOラムサール」が選ばれました。バードソン競技自体は昨年6月10日(日)に開催されましたが、学生たちはその後もバード・フェスティバルなどのイベントの機会をとらえて募金集めを継続、その結果、延べ1944人から763,286円の寄付金を集めてくれました。
この寄付は、KODOMOラムサールに参加する子どもたちの旅費、「とくに被災した東北地域から参加する子どもに活用してほしい」との意向で、RCJでは昨年度開催の「KODOMOラムサール」に「蕪栗沼・周辺水田」の子どもたちをよぶ費用に活用しました。学生バードソンのおかげで、多くの子どもに参加の機会が提供でき、またRCJの活動についても、広く広報・普及することができました。「NEC学生バードソン2012実行委員会」のみなさん、どうもありがとうございました。 
なお、NEC学生バードソン2012の詳しい報告は、以下に掲載されています。
 http://www.fa-net.org/birdathon/2012/index.html

◆緊急お知らせ◆ 
 「NEC学生バードソン2013」の寄付先が、ことしも「KODOMOラムサール」に決定
しました。開催日は6月2日(日)。ただいま参加チーム募集中です。チラシを同封します。
みんなで参加・協力して、募金をいっぱい集め、子どもたちをたくさんよびましょう。

 ●追悼・辻井達一先生●
 2012年7月、ラムサール条約第11回締約国会議(ルーマニア・ブカレスト)で、ラムサール条約湿地保全賞(科学部門)を受賞した辻井達一先生(RCJ会員)が、ことし1月初旬、病気のため、81歳で亡くなりました。
辻井先生とRCJとのおつきあいは、1990年6月、ラムサール条約第4回締約国会議(COP4)がスイスで開かれ、第5回会議(COP5)が釧路市で開催されることが決まったときからで、その後、アジア湿地シンポジウムの開催や、インド・チリカ湖の再生支援など、RCJの主だった活動の多くに関わり、湿地科学者の観点からのさまざまな指導、助言をいただきました。アジアの湿地NGO活動にも関心と理解を寄せ、インド、中国、ブルネイ、タイ、ベトナム、バングラデシュなど、多くのアジア活動にも同行してくださいました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

 ●2013年度、RCJの主な活動予定●
  RCJの2013年度の活動は、トヨタ環境活動助成プログラム「バングラデシュ国ドルガタ島の住民参加による沿岸生物多様性保全事業」が昨年末に決定(2年間・689万円)、経団連自然保護基金に申請していた「AWS活動の効果的促進のためのアジアのラムサール条約履行後進性地域の湿地調査・研究支援事業」が内定(新規事業・180万円)、地球環境基金に申請していた「ESDのための『KODOMOラムサール』−持続可能な開発のための環境教育」が内定(3年め・840万円)しました。これによって、活動継続の大きな裏付けと見通しが立ちました。
4月現在、ほぼ確定しているイベントの実施予定を以下に記します。

5月19日:第23回総会、91回<ワイズユース>ワークショップ(東京・市ヶ谷)
6月1〜2日:「ESDのためのKODOMOラムサール<雨竜沼>」(北海道・雨竜町)
   1〜2日:環境省「エコライフ・フェア2013」で
        「ESDためのKODOMOラムサール」「湿地の恵み展」(東京・代々木公園)
6月4〜5日:「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流<デリー>」(インド)
7月4日:シンポジウム「ラムサール釧路会議+20」(東京・青山)
7月6〜7日:「ESDのためのKODOMOラムサール<釧路湿原>」(北海道・釧路市)
8月9〜11日:「ESDのためのKODOMOラムサール<三方五湖>」(福井県・若狭町)
  
2014年
1月10〜14日:「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流<タイ>」(タイ・バンコク)
1月18〜19日:「ESDのためのKODOMOラムサール<出水平野>」(鹿児島県・出水市)

 これ以外にも、バングラデシュ、インド、ネパールのNGOへの協力など、今年のRCJはますます忙しくなりそうな予感があります。RCJは、専従スタッフをおかず、ボランティアによって運営されているNGOです。イベントなどが実施されるときは、とくに人手が不足しがちです。
お近くでイベントが開かれるときは、どうぞ、助っ人ボランティアにきてください。週1〜3回、事務局ボランティアをしてくれる方も歓迎です。
RCJでは随時インターン、学生ボランティアを受け入れています。現在も桜美林大学、東京都市大学、東京大学、青山学院大学、東京農業大学などの学生さんが、授業の合間を縫って、事務局を手伝ってくれています。関心のある方は、事務局までご連絡ください。


--- エコライフ・フェア2013、「湿地の恵み」展、今年も開催します---
  

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