ラムサール通信
2014年4月28日発行 第165号



 2013年度の中心事業「ESDのためのKODOMOラムサール」のまとめとなる国際評価ワークショップを3月22日に終えて、次の活動に向けて2014年度が動き出しました。ラムサールCOP12(2015年6月、ウルグアイ)に向けた準備がはじまります。


●ラムサールセンター第24回総会のお知らせ● 


 ラムサールセンター(RCJ)第24回総会を下記のとおり開催します。来年、設立25周年を迎えるにあたり、足跡をふりかえり、国内とアジアで展開してきた活動の成果と課題を検証し、組織の総点検をおこないたいと思います。
 条約事務局からも要請がある「アジア湿地シンポジウム(AWS)」、13年目となる「KODOMOラムサール」、新たに提起した「地域活性化に向けた協働取組」(環境省民活支援室へ申請中)など内外からのさまざまな期待にどう応えていくか。その一方で、限られた資源のもとでNGO原則を保持してきた小規模任意団体が抱える財政、人材などの困難な組織問題。いよいよRCJの活動の縮小も見据えた今後の事業、組織のあり方など重要な議論をおこないます。多くの会員の参加を要請します。もちろん例年どおり非会員のオブザーバー参加を歓迎しますので、関心のある方、とくに若い方々の出席を期待します。
 総会の前には第94回<ワイズユース>ワークショップを開催します。昨年秋、ベンガル湾岸を襲った強大なサイクロン「ファイリン」はインド・オリッサ州を中心に被災者1300万人ともいわれる甚大な被害をもたらし、RCJと関係の深い現地NGO「パリシュリ」のプロジェクト地も大きな影響を受けました。地球温暖化・気候変動に起因すると考えられる、この開発途上国で頻発する自然災害の現地調査に取り組んだ福岡女子大学の岩崎慎平さん(RCJ副会長)のリポートを中心に、バングラデシュ視察報告、宮島視察報告、KODOMOラムサールの活動報告、その他会員の近況報告を予定しています。



◆ラムサールセンター第24回総会◆

 と き:2014年5月31日(土)午後3時30~5時30分
 ところ:東京・渋谷「勤労福祉会館」2階 第3洋室
 渋谷区神南 1-19-8 電話:03-3462-2511
 渋谷駅から徒歩10分。 
 地図:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/kinro.html
 ◆第94回<ワイズユース>ワークショップ◆
 と き:2014年5月31日(土)午後1時30分~3時
 ところ:総会(上記)の会場で、総会にさきがけておこないます
 講演:「インド・オリッサ州の「ファイリン」被害と気候変動防災マネジメント」(仮)
 岩崎慎平(福岡女子大学)
 話題・近況:「バングラデシュ視察報告」、「広島・宮島視察報告」、
 「KODOMOラムサールの13年」ほか


●「ESD・KODOMOラムサール<総集編>」計画について●


RCJは、「国連DESDとESDユネスコ世界会議への貢献を目指す「ESDのためのKODOMOラムサール<琵琶湖・総集編>」を今年8月、滋賀県と草津市の共催するため準備を進めています。すでに積水化学工業とNEC学生バードソンの支援が決まり、さらに地球環境基金に要望書を提出しました。残念なことに地球環境基金は不採択となりましたが、そのフォローアップとして、KODOMOラムサール実行委員の協力のもと、環境省が推進中の「地域活性化に向けた協働取組の加速化事業」へ「地域活性化に向けた『ESD・KODOMOラムサール』推進事業」として3月31日に要望書を提出しています。こちらは5月に結果が出る予定です。
 「ESDのためのKODOMOラムサール<琵琶湖・総集編>」の共催パートナーである滋賀県と草津市とは改めて協議しましたが、協同取組推進事業の資金助成の有無にかかわらず、資金規模に合わせて柔軟な計画として対処していく方針が確認され、準備を進めています。
                     


●KODOMOラムサールがNEC学生バードソンの募金先に●

今年もField Assistant Networkの大学生が実行委員会を立ち上げて実施する、「NEC学生バードソン2014」(バードウォッチングを通しての自然保護募金イベント)が開催されます。このイベントの募金先として、ラムサールセンターのESD・KODOMOラムサール活動が決まりました。競技の開催日は6月8日(日)です。募金は今年のESD・KODOMOラムサール活動の活動資金として活用され、全国のラムサール登録湿地からの子どもたちの参加旅費の一部にあてられます。この通信を読んでいるみなさんもぜひ参加して、1人でも多くの子どもを「ESD・KODOMOラムサール」に送る資金をたくさん集めてください。
学生バードソンへの参加方法は2つあります。1つは、自分たちでチームをつくり、競技に参加すること。もう1つは、特定のチームを応援するサポーターなること。詳しい内容は、同封のチラシをご覧ください。 



●今年もエコライフ・フェアに「湿地の恵み展」共同出展します●

環境省が毎年6月の環境月間に合わせて東京・代々木公園で開催するエコライフ・フェア2014に、今年もRCJは参加します。開催日は6月7日(土)、8日(日)の2日間。日本国際湿地保全連合(WIJ)、ラムサール条約登録湿地関係市町村会議と協力しての「湿地の恵み展~ラムサール条約湿地の観光と物産」です。9年目の今年は、「農林水産業と湿地」をテーマに、各登録湿地からさまざまな海の幸、山の幸を持ち寄って販売、PRし、湿地の恵みと湿地のすばらしさを広報します。
名古屋・藤前干潟を拠点に、「自然を守る」をテーマに各地のラムサール条約湿地でミュージカル公演活動をおこなっている劇団シンデレラも駆けつけます。NEC学生バードソン2014の開催日と重なりますが、ご家族みなさんでご参加ください。散歩がてらにどうぞ。
なお、当日、展示ブース対応のお手伝いをしていただける方は、ラムサールセンターにご連絡ください。


●ESD-KODOMOラムサール国際評価ワークショップ開催報告●

3月22日(土)に桜美林大学PFCキャンパスでESD-KODOMOラムサール国際評価ワークショップをおこない、29人が参加しました。これまでのKODOMOラムサールの報告と、午後には講師として、川嶋宗継(チェンマイ大学)、サンサニー・チョーウ(マヒドン大学)、チチョン・パララクシ(チェンマイ大学)、中村大輔(滋賀県教員)、藤倉まなみ(桜美林大学)、佐藤真久(東京都市大学)、名執芳博(長尾自然環境保全財団)、岡野香子(宮島沼・水鳥湿地センター)、戸苅辰弥(藤前干潟を守る会)、佐藤奈津子(文教大学生)、山本賢樹(滋賀大学生)、ハラム・クォン(Korea Minjok Leadership Academy学生)のみなさんが発表。実行委員会、国内外の開催地、参加者など各立場からKODOMOラムサールに対する講評を述べた後、ディスカッションがおこなわれました。これまでのKODOMOラムサールの成果を客観的に評価し、この成果を今後も継続・発展させてほしいとの要望がだされる有意義なワークショップとなりました。
 ワークショップには、発表者のほかに安藤元一、中村玲子、武者孝幸、亀山保、山田真里、長倉恵美子、フローレスともこ、中村秀次、尾崎友紀、中村聡子、西堀恵子、髙木亜寿沙、浅井萌香、木村直樹、芝原達也、大場愛美のみなさんが参加しました。


 


●バングラデシュ訪問・現地視察報告●

3月28日~4月5日にかけて、バングラデッシュを訪問し、現地NGOバングラデシュ・ポーシュの主催するワークショップに参加し、プロジェクト地の視察をおこないました。同時に南アジア湿地ネットワークの会議も実施しました。メンバーは、中村玲子、亀山保、中村秀次、尾崎友紀、田辺篤志の5人。南アジア湿地ネットワークの会議は、中村玲子、亀山保、Desh Bandhu、Bishnu Bhandari、Sanowar Hossain、D. P.Dashさんの6人でおこないました。プロジェクト地の現地視察には中村玲子さんを除く4人のRCJスタッフが参加しました。
 現地視察の主な目的は、地球環境基金、トヨタ環境助成プログラムのプロジェクトサイトの訪問、視察です。ワークショップおよび会議がおこなわれたダッカからコックスバザールに移動し、プロジェクト地の視察をおこないました。
 コックスバザール北部に位置する、ドルガダ村、ゴロガダ村、コックスバザールよりさらに南のミャンマーとの国境に位置するナリケルジンジラ島をまわり、島の環境と、生活、マングローブ林を切り開いて作られた塩田、植林地、ウミガメの孵化場などをポーシュのスタッフのAsadさんの案内で視察しました。視察地域は、電気、水道はなく、海に面した村で質素な生活をしていました。このような地域では、取り組んでいる植林活動によって人々の環境意識が向上し、地域生態系の保全につながるとともに、台風など巨大な自然災害に直面した際に、高潮などから住民の命を守ることにもつながります。
ナリケルジンジラ島の現地スタッフが、「わたしの植えた木が島を守るんだ」と誇らしげに話した姿が、印象的でした。



南アジア湿地ネットワーク会議の参加者。
左から亀山保(RCJ副会長)、D.P.Dash(パリシュリ代表)、Bishnu Bhandari(ネパール湿地協会代表)、Sanowar Hossain(バングラデシュ・ポーシュ代表)、Srahin Hossain(Sanowarの息子)、中村玲子(RCJ事務局長)
 
ドルガタ村のプロジェクトサイトで
(後ろはサイクロンシェルター)
 
ドルガタ村の塩田(雨期はエビ養殖池になります)
 
ナリケルジンジラ島沿岸の植林の現場とPOUSH現地スタッフ





RCJ会員・事務局の近況・現況・ホットニュース

◆「AWS活動の効果的促進のためのアジアのラムサール条約履行後進性地域の湿地調査・研究支援事業」(2年目)に経団連自然保護基金内定しました。(260万円)
◆市川智子さんが、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(EAAFP)の本部事務局(韓国・仁川)に赴任しました。
◆日本・韓国・中国3国子ども湿地交流の第1回目(2003年)から参加して、この春、長崎大学水産学部を卒業した田辺篤志さんが、4月から事務局のボランティアスタッフになりました。
◆KODOMOラムサールに2007年から参加していた、藤前干潟の佐藤湧馬くんが神奈川県藤沢市の日本大学生物資源科学部に入学しました。
◆2013年、2014年とタイで開催した「ESD-KODOMOラムサール」に通訳ボランティアとして協力してくれたチェンマイ大学生のマルチャン(Chanpen Chupoh)が上智大学留学生として来日しました。
◆「ラムサール条約湿地荒尾干潟ガイドブック」(環境省九州地方環境事務所)の編集(日本語版・英語版)に協力しました。会員には1冊同封します。


ラムサール条約湿地荒尾干潟ガイドブック(環境省九州地方環境事務所)
日本語版・英語版




ラムサールセンター2013年度活動日誌

2013年
4月10日 地球環境基金(JFGE)2013年度活動報告提出
4月18日 岡本一宣さんと、2013年度のESD-Tシャツのデザイン打合せ
4月24日 辻井達一先生追悼記念講演会
4月25日 環境省民間活動支援室「協働取組」事業に申請書提出
4月30日 経団連自然保護基金(KNCF)2013年度活動報告提出
5月2日 釧路COP5+20シンポジウム打合せ(東京・GEOC)
5月8~9日 JFGE内定説明会
5月9日 JFGE20周年記念座談会
5月14日 JICA草の根技術協力アプライについて打合せ(東京・JICA地球ひろば)
5月18~19日 「ESD-KODOMOラムサール<雨竜沼湿原>」現地打合せ
5月19日 ラムサールセンター第23回総会(JICA地球ひろば)、第91回<ワイズユース>ワークショップ「地球環境条約と日本の20年」と併催。
6月1~2日 エコライフ・フェア2013「ESD-KODOMOラムサール・湿地の恵み展」出展(代々木公園)
6月1~2日 「ESD-KODOMOラムサール<雨竜沼湿原>」開催(北海道・雨竜町)
6月5~6日 「ESD-KODOMOラムサール国際湿地交流<ニューデリー>」開催(インド)
6月7~9日 「ESD-KODOMOラムサール<釧路湿原>」現地打合せ(北海道・釧路市)
6月14日 「ESD-KODOMOラムサール<三方五湖>」現地打合せ(福井・若狭町)
6月25日 トヨタへ、環境活動助成(バングラデシュ)の中間報告(東京・水道橋)
7月4日 ミャンマー湿地調査(KNCF事業)検討会(A.Tolentino、磯崎、岩間さんほか)
7月4日 「ラムサール釧路会議(COP5)+20」シンポジウム」開催協力(国連大学)
7月6~7日 「ESD-KODOMOラムサール<釧路湿原>」開催(釧路市)
7月9日 ESDユネスコ世界会議への協力について、愛知県・名古屋市へあいさつ、打合せ(開催支援室、名古屋市環境企画部、環境省中部事務所、EPO中部、藤前干潟を守る会ほか)
7月19日 環境省「荒尾干潟ワイズユース検討会」開催協力(熊本県・荒尾市)
7月20日 「ESD-KODOMOラムサール<三方五湖>」現地打合せ(若狭町)
8月1日 ICネットと今後の協力可能性について打合せ(事務局)
8月3日 滋賀県「ラムサールびわっ子大使」事前研修会参加(滋賀)
8月9~11日 「ESD-KODOMOラムサール<三方五湖>」開催(福井・若狭町、美浜町)
9月6日 アジア国立公園会議実行委員会(東京)
9月7日 湿地学会総会(金沢・加賀市)
9月5~9日 南アジア地域NGOネットワーク会議に参加、パリシュリのJFGE事業地視察(インド・ブバネシュワル)
9月10~14日 「ESD-KODOMOラムサール国際湿地交流<チャオプラヤ川下流域>」現地調査。タイ政府、JICAタイ、UNESCAP、UNEP・ROAP、UNESCOタイ、マヒドン大ほかと打合せ(バンコク)
9月12日 大沼ラムサール国際シンポジウム参加(北海道・七飯町)
9月14~15日 「あいち・なごやESDフェスタ in 名古屋」出展(名古屋)
9月21日 NEC学生バードソン2013報告会(東京・大井町)
9月22日 ESD-KODOMOラムサール実行委員会(JICA地球ひろば)
9月30日 「ESD-KODOMOラムサール<出水平野>」現地打合せ(鹿児島・出水市)
10月2~8日 ミャンマー湿地調査実施(KNCF事業)(ミャンマー・インレー湖、モヨンジ湿地ほか)
10月12日 KODOMOラムサール宮島沼交流会(北海道・宮島沼)
10月13日 KODOMOラムサールウトナイ湖交流会(北海道・ウトナイ湖)
10月18日 プレック研究所と荒尾ワイズユース計画について打合せ(事務局)
10月24日 ASEAN「日本語スピーチコンテスト」発表会。タイ・マルチャン来日(東京・鉄鋼会館)
10月31日~11月1日 ラムサール条約登録湿地関係市町村主管者会議(那覇市)
11月2~3日 ラムサール登録湿地与那覇湾調査(宮古島)
11月6日 JICA地球環境部とKODOMOラムサールフォローアップの意見交換(東京・JICA本部)
11月8日 環境省「第2回荒尾干潟ワイズユース検討会」(荒尾市)
11月14~16日 アジア国立公園会議(仙台市)
11月23日 第92回ワイズユースワークショップ「ミャンマーの湿地保全」(上智大学)
11月30日 玉川上水とラムサール条約ワークショップ(東京・小平市)
12月7~9日 WI中国「湿地の学校10年記念会議」(中国・無錫)
12月12~14日 エコプロダクツ展に出展(東京ビックサイト)
12月17日 出水のツルの分散構想について環境省にヒアリング
12月25日 「ESD-KODOMOラムサール<出水平野>」現地打合せ(出水市)
12月25日 荒尾干潟パンフレット編集会議(荒尾市)
12月27日 「ESD-KODOMOラムサール<バンコク>と<出水平野>」の打合せ(事務局)
12月28日 ラムサールセンター忘年会(渋谷)
2014年
1月4日 仕事始め
1月10~12日 「ESD-KODOMOラムサール国際湿地交流<チャオプラヤ川下流域>」開催(バンコク)
1月18~19日 「ESD-KODOMOラムサール<出水平野>」開催(出水市)
1月20日 B.O'Callaghan来日、歓迎会(新宿)
1月31日 2014年度KODOMOラムサール打合せで滋賀県訪問(滋賀・大津市)
2月4日 環境省「荒尾干潟ワイズユース検討会」(荒尾市)
2月2日 WIJ[世界湿地の日シンポジウム」に協力(国連大学)
2月12日 JFGE2014年度助成申請(RCJ、バングラデシュ・ポーシュ、パリシュリ、インド環境協会).
2月12日 FANとNEC学生バードソン2014打合せ(事務局)
2月21日 「ESD-KODOMOラムサール<琵琶湖>」現地打合せ(草津市)
2月24日 群馬県中之条町町役場打合せ(事務局)
3月6日 積水化学に、ESD-KODOMOラムサール実行委員会の報告(虎の門)
3月12日 KNCF「NGO交流会」(大手町)
3月22日 「ESD-KODOMOラムサール国際評価ワークショップ」開催(桜美林大学)、Sansanee、Chitcolら講師として来日
3月31日 環境省民間活動支援室「2014協働取組事業」に申請書提出





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