<日本・中国・韓国 >子ども湿地交流 in大豊
子どもたちと
先生からの感想文

日本から参加した、左から高良海舟くん(小禄小)、井田翔子さん(志津小)、川村礼美さん(鶴居小) 引率された、左から広川ヨシ子先生(漫湖センター)、中村大輔先生(笠縫東小)、藪本隆子先生(鶴居小)




〜子どもたちの感想文〜

●高良 海舟(沖縄・那覇市立小禄小学校6年生)

 12月24日。
 ぼくたち、日本・中国・韓国の湿地交流会に参加するメンバー11名は、上海空港に着いた。上海は、とても寒かった。空港には、中国の先生方が、ぼくたちをむかえてくれた。しばらくすると、韓国の人たちも来たので、いっしょに大型バスに乗りこんだ。バスの中には、もう中国の人たちも乗っていた。これで、日本・中国・韓国のメンバーがそろった。いよいよ、交流会のスタートだ。
 バスの中では、日本のメンバー2人とトランプをして楽しんだ。中国や韓国の人たちは、すごく積極的で、自分たちの国の歌をうたって、紹介した。バスから外をみると、川で洗たくをしている人をみた。ぼくは、おどろいた。
 そうこうしているうちに、バスは5時間ぐらいして、大豊市に着いた。そこは、自然保護区で、ぼくたちの泊まる所もそこにある建物だった。でも、暖房器具も故障し、お湯もなかなか出ないで、ベットには毛布もなく、とても寒かった。ぼくは、日本と中国の人たちの生活があまりにもちがうと思った。日本の国は、ぜいたくだなあと思った。
 25日から、交流会がはじまった。ぼくも発表したが、他の人がとてもうまかった。それと、中国や韓国の人たちが、とてもまじめで、すごくがんばっていて、元気があったこと、すごいと思った。
 また、自然保護区の湿地で、珍しい鹿、ミールー(シフゾウ)もみることができたこと、本当にうれしかった。中国での交流会は、何もかもが初めての経験で勉強になった。一番うれしかったことは、周りの人たちがとても親切でやさしかったこと。それから、ぼくのわがままをやさしく見守ってくださったラムサールセンターの先生方、スタッフのみなさん、本当に本当にありがとうございました。


●井田 翔子(滋賀・草津市立志津小学校6年生)

 私は、ラムサール湿地ウィークに参加してこれほど環境がちがうのかと体感しました。
 まず、気候のちがいです。日本よりはるかに寒かったです。しかし、寒さに対応するだけの設備がまったくといっていいほどありませんでした。おふろは、お湯の出も少なく、水ぶろ状態で、かべには穴があき、ふとんはうすいふとんが一枚だけでした。なので、私はジャンパーを着て、カイロを貼り、くつ下をはいて自分で寒さ対策をしました。
 そして、次におどろいた事はトイレです。日本とちがい、みぞのようなところに、低い仕きりだけがあり、ドアもない所もありました。もちろん、トイレットペーパーもありませんでした。電気も時間がたつと消えてしまいました。
 次に食べ物の味つけが、私の口にはあまりあわなく、おかしでお腹をふくらましていました。
 町の様子は、てんびん棒をかたにかつぎ物を売っている人や、リアカーで荷物を運んでいる人などがたくさんいました。人々の服装は、地味な衣服を身に付けている人が多かったです。しかし、人々の団結力のすごさにおどろきました。はでな衣しょうを身にまとい、息のあった歌やダンスを見せてくれました。私達のために、最大のかんげいをしてくれた事にとてもうれしく感じました。
 私は、その最大のかんげいをうけて、今の私に何ができるのかと思い、中国語や韓国語の本を借りて、いろんな事を質問したりしました。また、紙には本に書いてある中国語を書いて、また中国の人は日本語を書いたりしてくれて、コミュニケーションがとれました。
 そして、シフゾウを見てたくさんいてびっくりしました。たくさんのシフゾウがいて保護されていたのでそれだけ貴重の動物を実際にこの目で見ることができてよかったです。
 私は、中国に行って、ふだんでは経験できないような事ができて、この旅に参加する事ができて本当によかったです。この経験を生かして、これからも世界の子ども達と一緒に世界の環境問題を考え、よりよい環境を作っていきたいと思いました。そして、また中国に行きたいです。
 本当にみなさん、多謝謝。


●川村 礼美(北海道・鶴居村立鶴居小学校5年生)

 私はアジア湿地ウィークに参加するために、中国に行ってきました。
 1日目は、釧路空港から東京の羽田空港に行きました。アジア湿地ウィークには、中国・韓国の人たちも来るので、言葉も通じないし、習慣も違うのでとても緊張していました。
 2日目は、東京の成田空港から中国の上海空港まで、国際便で移動しました。それから5時間半かけて大豊(ダーフォン)に行きましたが、バスの中では疲れて寝ていました。バスは古くて寒くて、窓からはすきま風が入ってくる、日本では使われないような車です。
 大豊の宿舎もとても古くて、暖房を30度に設定してもかすかに温風が来るだけで、とても寒かったです。その夜は寒くてパジャマの中に半袖を着てカイロを足と背中にはって、くつ下をはき、手ぶくろ、マフラーをして寝ました。
 3日目はいよいよ発表でした。中国・韓国の人たちの発表は通訳がいたのですが、聞きとりにくく、あまりわかりませんでした。
 滋賀県の井田翔子さんの発表は「伯母Q五郎」というエコクラブの活動についての発表で、沖縄の高良海舟君の発表は漫湖に棲んでいる生き物などについてでした。私は「タンチョウの保護」について発表しましたが、まちがえることなく落ち着いて発表することができました。その後の食事でたくさんの色々な国の友だちを作ることができました。
 4日目は、中学校の式典に参加したり、高校の見学をしたりして、夕方ラジオの収録に行きました。私はインタビューを受けたのですが、言っていることがよくわからなくて、大変だったけどまぁうまく答えられたと思います。質問の内容はアジア湿地ウィークを記念して植樹をした『友情の木』について、タンチョウがこれからどうなればいいかなどでした。その間みんなは買い物をしていました。
 5日目は上海のホテルに移動しました。6時間かかるバスの中では、韓国の人たちとトランプをしました。上海のホテルは大豊の宿舎とは違い、とてもきれいでした。
 6日目は上海空港でおみやげを買い、東京行きの便に乗りました。そしてそこで井田さんたちと別れ、羽田までバスで移動して羽田第1ターミナルから釧路行きの便に乗りました。
 私はこのアジア湿地ウィークに参加することができて本当によかったと思います。タンチョウのことを多くの人々に知ってもらえたし、多くの人たちとの交流ができたからです。このアジア湿地ウィークを計画してくれた中村さんをはじめ多くの方々に心から感謝します。
 またこのような色々な国の人とふれ合う機会があったら、ぜひ参加してみたいと思います。




〜先生方の感想文〜


●広川ヨシ子先生(沖縄・漫湖水鳥・湿地センター)

 「空は青、大地は緑、湿地は生命の源」
 果てしなく広がる中国大豊市の湿地帯、どこまでも続く寒々とした冬の並木。中国は寒い。
 私は去る12月24日〜28日迄、アジア湿地ウィーク日本・中国・韓国子ども湿地交流イン大豊湿地に日本側メンバーの一員として参加させていただきました。
 この交流会を通して、私は大きな衝撃と感動を受けました。 まず、広い大地でたくさんの人たちが、それこそ切磋琢磨というのでしょうか、必死に生活をしている光景をみた時、正直言いまして、頭の中がもう真っ白でした。交流会の最大のイベント、子どもたちと引率者による発表会では、3カ国からの湿地についての現状と課題の報告がありました。子どもたちの目の輝き、明るくて、自分の国を誇りにもち、堂々と意見を述べている姿、どこからあのようなエネルギーが出てくるのか、とても感心させられました。きびしい社会環境の中で培われたものなのでしょうか。中国や韓国は、国が動いているということを肌で感じたのを覚えています。大人たちのレポートも長い間にわたっての研究の取組みもすばらしいなあと思いました。
 三日目、大豊第四中学校の祝典イベントに招待され、またそこでもすごい感銘を受けました。あの厳しい寒さの中、屋外での集会、生徒達の規律ある態度、すごいと思いました。
 シフゾウの見学、植樹祭等、次から次へと、盛りたくさんのプログラムを実に、きめ細かく、しかも大胆に中国のスケールの大きさにただ、ただ驚くばかりでした。そして、何よりも各イベントに行政のトップの方々が出席され、子どもたちを激励されていたのが印象的でした。大人も子どもも共に湿地のことを考え、発表し、行動する姿勢は、すばらしいです。今回の中国訪問は、私に大きな示唆を与えてくれました。
 終わりに、私たちを、5日間案内等、親身になってお世話いただきました中国の関係者の皆様の暖かいお心に感謝いたします。
 そして、今回もこのようなすばらしい企画をしてくださったラムサールセンターの中村主事をはじめ、武者さん、赤瀬さん、野中さん、嶺子さん、大変お世話になりました。
 ありがとうございました。 


●中村大輔先生(滋賀・草津市立笠縫東小学校)

 旅の中でもっとも印象に残ったのは、街の中で目立つ多くのごみや汚染された水路、そして人々の生活でした。この国の多くの人にとっては、環境問題より、貧困との闘いや、どう生きるかという問題が、最も身近にあるようでした。ごみ一つ落ちていない自然保護区や、その保護区の環境を考えるために建てられた湿地実験中学校は大変立派な施設でした。しかし、その学校の門を一歩出ると、街はごみで溢れているという現実があり、考えさせられました。
 急速に発展し続けるこの国の人々に環境の大切さをどう伝えるのだろうという漠然とした疑問が浮かびました。わたしたち日本人は、豊かで生活にゆとりがあるから、環境教育にも熱心で、省エネや節約を言えるのではないかと、自分の実践に迷いが生じました。その価値観をこの国に、そっくりそのまま持ち込めないと感じました。それよりも、旅行中、設備の不備を指摘したり、食事の不満を口にしてしまう、わたしたちこそ、そのライフスタイルが環境に付加を与えすぎていることに気づき、見直すべきなのではないかと考えました。
 しかし、私の結論は、今この国にこそ環境教育が必要であるというものです。日本は、豊かになるために環境を軽視し、重大な環境問題を引き起こしてきました。その反省を教訓としてこの国に伝えることは、わたしたちの大きな役割だと考えたとき、「アジア湿地ウィーク」のような国際交流の重要性を改めて認識しました。加えて、将来を担う子どもの交流は、大変意義深いものであると思います。
 それと同時に、国際協調は一方の国の押しつけであってはならず、その国の人々の生活の現状を知り、それに寄り添ったものでないといけないと、強く実感しました。
 中国の人々の決して恵まれた環境とはいえない中でも、たくましく生きる姿には、新鮮な感動を覚えました。バスの窓から、庭先で大人が集まって、カードゲームを楽しむ光景を何度か見ました。幸せそうなその笑顔が印象的でした。
 湿地保全の大切さを学ぶと共に、「豊かさとは何か」を考え・学ぶ旅となりました。 


●藪本隆子先生(北海道・鶴居村立鶴居小学校)

 第3回アジア湿地ウィーク子どもと湿地交流に、担任している児童の引率として参加させていただきました。昨年も同じ学校の児童と教員が参加していましたが、今回は本校の「湿原学習」について発表させていただきました。釧路湿原の学習は全校的な取り組みで始まり、形は変わっても継続されています。
 ただ、タンチョウについて関心をもち調べようとする子は、あまりに身近な存在のせいか意外と少ないのです。今回の発表でタンチョウの美しさ貴重さ素晴らしさを、改めて認識する良い機会になったと思います。また中国や韓国でもタンチョウは特別な野鳥として大切にされていることを私も改めて知りました。
 日本から参加した滋賀県や沖縄県の人たちとの交流で、湿地を通してできる環境教育の様々な方法や問題点を話し合うことができました。ただ湿地・湿原といっても実にさまざまで、特に中国の湿地は日本の湿原とあまりにもスケールも違いとまどいました。大豊ではこれから環境教育を進めていこうということのようでしたが、日本も数十年前までは同じような状況だったように思います。大豊市の放送局でラジオの収録をした時、中学生から電話で質問を受けましたが、環境に対する関心が高まってきていることがわかりました。この交流会が大豊で行われたことは意義のあることで、広い中国の先進的な立場で進めていって欲しいと思いました。
 今回参加させていただいて、将来を担う子どもたちはもちろん教師にとっても視野を広げるとても良い機会になりました。参加した子ども達が中心になり、アジアだけでなくグローバルに考え行動できる人間になってほしいと期待しています。
 このような機会を作っていただいたRCJの方々、中国韓国のみなさまに心からお礼をいたします。


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