BruneiSelirong


 ブルネイは、ボルネオ島の北西海岸に位置する面積5765kuの小さな王国です。豊富な石油と天然ガス資源によって、経済的に恵まれていたという事情から、森林資源への依存が少なく、現在でも国土の80%が熱帯林(雨霧林)と湿地林(ピートスワンプ)に覆われています。森林の約70%は、原生状態を維持しており、世界的に見てもきわめて稀で、地球の財産といえます。なかでも同国の東部、マレーシア・サバ州国境に接するブルネイ湾岸のセリロン島には、高さ40mにもおよぶ巨大な原生マングローブ林が手つかずのまま残されていることがわかり、専門家の注目を集めています。
 ところが、その価値は国民に十分認識されているとはいえません。
 
 そこでラムサールセンターでは、2000年度より経団連自然保護基金と潟潟Rーの助成を受けて、この貴重なマングローブ林の残る2500haの小さな島、セリロン島を中心とする自然生態系の調査と保全管理計画の策定をめざす「ブルネイにおける原生マングローブ林の保全および湿地と生物多様性に関するパブリックアウェアネス」プロジェクトに取り組んでいます。石油、天然ガス資源が枯渇する日も、そう遠くないといわれるいま、森林の保全について考えることは重要な課題となっています。

ブルネイ・
    ダルサラーム

緯 度
北緯 5度 東経 115度

所在地:ボルネオ島北西部


面 積:5765ku
     (大分県とほぼ同じ)


人 口: 32万人

首 都: バンダル・スリ・ブ゙ガワン
     (人口 20万人)


セリロン島は、首都バンダル・スリ・ブガワンから船で約30分。 
この写真は船から撮影。右はブルネイ側の原生林、奥がマレーシア側の二次林です。原生林は高さも太さも、二次林の2倍近くあります。

ここのマングローブ林は、高さ30〜40m、直径50p〜1mと巨大です。
うっそうとした熱帯の森の中は、セミや野鳥、獣の鳴き声やエビが跳ねる音など想像以上のにぎやかさです。
 国連食料農業機関(FAO)の森林資源官、樫尾さん(写真右端)は、「私はこれまで、アジア太平洋地域で数多くのマングローブ林を見てきたが、これほど素晴らしいのは初めてです。世界遺産級」と驚いていました。 

 
2002年4月、首都バンダル・スリ・ブガワンの森林局で行われたワークショップの風景には日本、マレーシア、タイの専門家とブルネイ政府、ブルネイ大学研究者など50人が参加し。セリロン島のマングローブ林の調査と保全について話し合われ、現在プロジェクトが進められています。
写真:平井  朗、武者 孝幸  文:築地 珠子
*写真は<再利用禁止>です。

                                                                            

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