中国「紅河ハニ棚田群の文化的景観」を訪ねて

長井弘勝(会員)


 2015年4月半ば、中国雲南省にある世界一の広さを誇る「棚田」の壮観を、友人3人と見にいってきました。
 雲南省の省都・昆明の南西、ベトナム・ハノイへ流れる紅河の上流にあたる元陽県の、少数民族「哈尼(ハニ)族」が暮らす標高1800メートル、最大勾配75度の山間部の、総面積5万4000ヘクタールの棚田です。琵琶湖の面積とほぼ同じで、そのうちの1万6600ヘクタール(釧路湿原の2倍)がユネスコの世界文化遺産として、中国で初めて民族名入りで登録されました。英名は「Cultural Landscape of Honghe Hani Rice Terraces」です。(注:アジア湿地シンポジウムAWS2012/無錫の「行動宣言」にも記載)

 新街鎮というところに宿をとり、ミニバンをチャーターして行きました。
 代表的な絶景ポイントが4か所(箐口梯田観景点 壩達梯田観景点 多依樹梯田観景点 老虎嘴梯田観景点)あり、展望所が設けられています。入口のチェックポイントで一括入域券「元陽哈尼梯田景区游覧券」、1人100元を購入します。棚田は、中国語で梯田(ティーティエン)です。「はしご」田ですが、段々畑も「梯田」といいます。
 4か所とも絶景ですが、位置するところによって、日の出の景色がいいところ、日没時がいいところとなっています。多依樹はサンライズ、老虎嘴はサンセットがすばらしいとのことです。
各ポイントは離れているので、歩きでは無理です。日の出前に出かけ、日没後に帰るという1日プランで車をチャーターすると効率的に見ることができます。
 以前、元陽の棚田の写真を見たときには、どうやって撮ったのだろうと思ったのですが、水が張られている季節に日の出とか日没に行けば、誰でも一応の写真が撮れるとわかりました。
 大型観光バスも次々に来ます。絶景を楽しみましたが、例によって団体観光客は「にぎやかすぎる」ので…。やっぱり中国なのです。
 写真をご覧ください。



【1~3】多依樹梯田観景点から: 日の出前、先に明るくなった空を田の水が映し、すばらしい文様を浮かび上がらせます。やがて日の出とともに金赤色に、次第にまぶしい白に色を変えて輝きます。


【4~6】壩達梯田観景点とハニ族の村: まさに壮観です。この雄大な景観が1枚1枚の田んぼから成っていることに、あらためて感動します。クローズアップして見ると、田の中に大きな岩が見えます。棚田開削、維持の数百年間の営々たる働きがしのばれます。棚田の上方のハニ族の村の家々の、キノコのような屋根が印象的です。

 
【7~10】近隣の村の市場のようす: 客も売り子も、女性の多くは民族衣裳を身につけて華やかです。


【11~13】老虎嘴梯田観景点から: 日没時、田植え前の田と田植え後の田が、まだら模様を描きだしています。田植えする人々の姿も見えます。もちろん、みんな手作業です。
 
戻 る