ラムサール通信
2012年7月4日発行 第151号


 「やまや」さん、「トキ保護募金」ありがとうございました

6月15日、ラムサールセンター(RCJ)に株式会社「やまや」から42万2120円の「トキ保護募金」寄付金が届きました。「やまや」(本社・仙台)は全国におよそ260の直営店をもつ酒類販売会社で、RCJが2009年、バンロックステーションワイン(豪州)の支援で開始した「トキと湿地プロジェクト」の日本側共同スポンサーとして、活動を支援してくれた会社です。2010年、バンロック側の都合でプロジェクト支援が突然打ち切られた後も、全国のやまや店頭に募金箱をおく「トキ保護募金」キャンペーンを独自に展開し、RCJのトキ生息地再生のためのCEPA活動を応援しつづけてくれました。昨年の東日本大震災で、本社はじめ東北各地の顧客や従業員、そして社屋や店舗が被災したなか、店頭での募金活動は継続され、このたび1年半ぶりのご寄付となりました。
2009年以降、「やまや」から寄せられた寄付金は、これで合計380万8802円になりました。東北地方の震災・津波からの復興も道半ばであることから、「トキ保護募金」はこれで打ち切り、地域振興のための新しい店頭募金キャンペーンを開始するというお話ですが、これまでの息の長いご支援に、心から感謝し、敬意を表紙します。
2008年に佐渡で放鳥されたトキは、今年はじめて野生繁殖に成功し、新しいステージを迎えました。先行して2005年に放鳥に取り組んだコウノトリでは、野生繁殖の順調な推移の結果、個体数がふえ、営巣木やつがいの相手をめぐる縄張り争いも起きていると聞きます。生息地の分散と拡大の必要性が現実味を持ってきました。日本各地に、トキやコウノトリが舞う里山の環境をとりもどす運動は、いよいよこれからが本番です。
「やまや」のみなさん、そして店頭で募金協力してくださった多くの方々のご厚意を生かし、RCJはその活動をつづけていきます。どうもありがとうございました。



 ●ラムサールセンター第22回総会報告
AWS2011(サバ/無錫)の成果を「ラムサールCOP11」「CBD_COP11」へ。
「ESDのための『KODOMOラムサール』」は、より深化した活動に。
  ラムサールセンター(RCJ)の第22回総会が、2012年5月26日(土)、法政大学人間環境学部会議室で開催されました。安藤元一会長以下、副会長の磯崎博司、武者孝幸、林聡彦、監事の亀山保、事務局長の中村玲子、会員のBishnu Bhandari、長倉恵美子、白石拓也、大久保香苗、岡本嶺子、名執芳博、中村秀次、苑原俊明、宮崎佑子の15人のみなさんが出席しました。また、RCJの「KODOMOラムサール」でKODOMOリーダーとして活躍している高校生の佐藤湧馬さんほかがオブザーバーとして参加しました。

ラムサール条約第11回締約国会議が7月6~13日、ルーマニアのブカレストで開催されますので、4~16日、ラムサールセンターの事務局(東京)はお休みします。

再開は7月17日~。ご連絡はEメール(ramsarcj.nakamura@nifty.com)へどうぞ。
 2011年度のRCJ活動の中心的なイベントは、マレーシア・コタキナバル(7月)と、中国・無錫(10月)で、2つの「アジア湿地シンポジウム(AWS)」を開催したことでした。これまでのRCJは1年に2つの国際シンポジウムを開催した経験はなく、これは大きな挑戦でしたが、開催国やパートナー団体の多大な協力のもと無事終了し、それぞれ「サバ行動宣言」「無錫行動宣言」の採択し、いまアジアで取り組むべき湿地保全の方向性を示しました。
2012年度は、この2つのAWSの成果をラムサール条約COP11(7月6~13日 ブカレスト・ルーマニア)と、CBD_COP11(10月8~19日 インド・ハイデラバード)に提示し、多くの人々と共有することが大きな活動目標になっています。そのため、2つの「宣言」を14か国語に翻訳し、各会議に持参します。
2011年のRCJ活動のもう一つの大きな柱だった「ESDのための『KODOMOラムサール』- 持続可能な地球のための環境教育」(地球環境基金助成)は、6月の環境省エコライフ・フェア2011でのキックオフイベントを皮切りに、海外では中国・無錫市、タイ・チェンマイ市で2回の「KODOMラムサール」を開催したほか、国内では山口県の周南市で「KODOMOラムサール」を、習志野市の谷津干潟で「ファシリテーター研修」を開催しました。2012年度もひきつづき、KODOMOラムサール活動の拡大・深化を図ります。
以下、2011年度の活動報告と2012年度の活動計画を掲載します。


 【2011年度(2011年4月~2012年3月)の活動報告と会計報告】
基本方針:

 2011年度は「第7期中期計画(2009~2012年)」第3年度で、「ラムサールCOP11(ルーマニア/2012年6月19~26日)」への貢献を具体化するため、2回のAWS(サバ、無錫)を成功させることが活動の中心でした。締約国が増え「地域」の役割が重視され、AWSへの期待は大きく、Ⅹ.31「水田決議」のフォーアップも含め、力をいれて取り組みました。
 また、「KODOMOラムサール」の成果を継承、発展させる新たな運動として「ESDのための『KODOMOラムサール』―持続可能な開発のための環境教育」3年プロジェクトがスタートしました。ESDとは、「持続可能な開発のための教育」で、2011年は日本政府が提唱した「国連・ESDの10年」(2005年~)の終盤にさしかかり、2014年のゴールをめざして基礎を築き、軌道に乗せることに力を注ぎました。
 その他、前年度からの継続事業、RCJの基本活動は、従来どおりの方針で活動を進めました。
        
1「アジア湿地シンポジウム・サバ(AWS Sabah 2011)の開催:
 マレーシア・サバ州とJICAで取り組む「ボルネオ生物多様性・生態系保全プログラム(BBEC)」の一環としてサバ州政府の主催、マレーシア天然資源省・JICA・RCJの共催、環境省・経団連自然保護協議会(基金)・ラムサール条約事務局・HSBCなどの協力で7月18~20日、ボルネオ島コタキナバル市で開催しました。
「生物多様性と湿地」をテーマに、湿地生態系の包括的な生物多様性保全を可能にする戦略、手法を明らかにすることを目標に、19か国 322人が参加し、サバ行動宣言を採択して無事終了しました。なお、併催されたサバ州森林局ほかが主催の「ボルネオ子どもキャンプ」に、日本の子ども代表ら7人が参加しました。
1「アジア湿地シンポジウム・サバ(AWS Sabah 2011)の開催:
 10月11~13日、江蘇省の工業都市、無錫(ウーシー)で開催しました。ラムサール条約を所管する中国国家林業局・江蘇省人民政府・WI・RCJ主催、国家林業局湿地管理保全部・江蘇省林業局・無錫市人民政府・環境省・経団連自然保護協議会(基金)・JICAほかが共催・協力し、「豊かな暮らしと湿地」をメインテーマに、20か国720人が参加し、湿地と森林保全・気候変動・健康・農業・観光など6分科会にわかれて議論を深め、最終日に無錫行動宣言を採択しました。中国で最大規模の国際湿地会議となり、とくに中国の地方自治体の森林・湿地保護担当官が多数参加したことの意義は大きかったといえます。
 RCJは、このAWS2011無錫に先行して「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流<無錫>」を、WI中国と協力して開催し、日本の子ども代表14人が参加しました。
3「ESDのためのKODOMOラムサール」プロジェクト:
RCJが2002年から取り組んできた環境教育、「日中韓子ども湿地交流」「KODOMOラムサール」「KODOMOバイオダイバシティ」の成果を、日本の提唱で国連が推進する「ESD(持続可能な開発のための教育)」運動に合流させる事業として、地球環境基金助成で、3年計画で実施するもの。
 実行委員会(RCJ、積水化学、専門家)を中心に、運動を専門的立場から指導するアドバイス委員会と、運動推進役のリーダー委員会を組織。「KODOMOラムサール~KODOMOバイダオダイバシティ」で協力を得た中村大輔先生とひきつづきタッグを組み、6月4~5日のエコライフ・フェア2011で「キックオフ宣言」してスタートしました。
7月に、AWSサバ2011に協賛して開催された「ボルネオ子どもキャンプ」に子ども代表4人を、「研修」として派遣。10月には、AWS無錫2011と協賛する形で「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流in無錫」を開催、WI中国と協力して日本(17人)、中国(24人)、韓国(2人)の子ども代表が参加しての日本・中国・韓国子ども湿地交流を実現しました。11月には、山口県周南市、新潟県佐渡市、兵庫県豊岡市、鹿児島県出水市らが共催した「生きものと人・共生の里を考えるシンポジウム」に協賛して「ESDのためのKODOMOラムサール<周南>」を開催(子ども参加47人)。2102年1月には、タイのチェンマイ大学と共催で「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流<チェンマイ>」を開催(子ども参加31人)。ほかにファシリテーター研修(チェンマイ、谷津干潟)なども実行し、人材育成を手がけました。
4 エコライフフェア2011<湿地の恵み展>:

 登録湿地の活動を首都圏に紹介・情報発信して、「ラムサール」運動の拡大をめざすイベントとして定着した6年目の事業で、6月4~5日、代々木公園で、WI-J、ラムサール条約登録湿地関係市町村会議と実行委員会を組織して開催し、全国17団体、18湿地が参加しました。RCJのESDブースと連結して、FAネットワークや大学生ボランティアが協力しました。
5 トキと湿地プロジェクト:

「○○にトキが来たら、どうする?」ワークショップの首都圏開催を探りましたが、東日本大震災の影響もあり、見送りました。佐渡のトキ生息地再生への取り組みを世界に発信する機会として、 AWS無錫2011に佐渡市の高野浩一郎市長の参加とプレゼン、展示ブースの設置をコーディネートしました。佐渡市から昨年度に引きつづき、ラムサール条約登録に向けた勉強会への講師派遣の依頼があり、美唄市宮島沼の牛山克己さんを紹介、副会長の武者孝幸さんを派遣して協力しました。
6 生きものと人・共生の里を考えるシンポジウム:
 ラムサールと生物多様性、里山イニシアティブをつなぐ有効な事業と評価してきただけに、周南市、ナベヅル保護協会などとともに実行委員会の一員として協力。協賛イベントとして「ESDのためのKODOMOラムサール<周南>」を実施しました。
7 チリカ湖再生プロジェクト形成について:
 チリカ湖では、2000年の新湖口開削によって、環境改善と漁獲回復を実現し、モントルーレコードから除外され、その後、2006~2008年、JICA「チリカ湖環境保全と自然資源の持続可能な利用計画」プロジェクトが実施されましたが、根本的な環境再生、漁業資源管理、住民の貧困解消は達成されず、チリカ開発公社の代表に復帰したパトナイクさんから「プロジェクト再構築の要請書」が届けられ、「JICA草の根技術協力事業」として新たなプロジェクト形成を検討しました。事務局は、JICA事業に詳しい会員の土居正典さん、チリカ湖をフィールドに研究をつづけている岩崎慎平さんの協力を得て専門委員会を立ち上げて検討、2011年12月に「インド・チリカ湖における責任ある漁業の振興・啓発プロジェクト-湿地生態系の持続可能な利用をめざして-」で応募しましたが、残念ながら不採択となりました。今後については、ひきつづき専門委員会で検討します。
8 海外NGOへの支援活動:
2011年度は、地球環境基金の代理人として、次の海外NGOプロジェクトを支援しました。
・パリシュリ(インド、ダス代表)/代理人武者孝幸
「ビタカニカ湿地の環境再生アウェアネス活動」(3年計画3年目)
 ・インド環境協会(インド、デッシュ代表)/代理人長江珠子
  「CBD_COP10に貢献する『生物多様性保全のための湿地クラブ』活動」(3年計画1年目)
・ポーシュ(バングラデシュ、サノワ代表)/代理人ラムサールセンター
  「モヘシュカリ島沿岸における住民参加型の生態系アプローチ適応プログラム(3年計画1年目)
 2012年2月、インド、バングラデシュの3つのプロジェクト地を中村玲子事務局長、武者孝幸副会長らが視察しました。
9 RCJの基本活動:
 例年どおり、最も重視する基本活動として継続しました。しかし、AWSの2回開催など海外活動に力を割かれたため、国内でのワイズユースWSは2回にとどまりました。ラムサール通信は12 回発行。ホームページの更新には、若いボランティアスタッフが活躍しました。
サロベツ原野、豊田市、藤前干潟、佐渡などでの各種シンポ、ワークショップに協力、参加したほか、とくに2012年にラムサール条約に新規登録される予定の、大沼、立山弥陀ヶ原・大日平の地元説明会やシンポジウムの企画、開催に協力しました。
 ESDのキャンペーンのツールとして、岡本一宣さんのデザイン協力で、新しくESD-Tシャツをつくりました。
10 組織・事務局報告:
 事業が拡大し、役員体制強化が必要となり、藤倉良さん(元会長、法政大学教授)が副会長に新任となり、以下の新しい役員体制で活動しました。
  会 長 安藤元一(東京農業大学教授)
副会長 磯崎博司(上智大学教授)、岩間徹(西南学院大学教授)、菊地邦雄(元法政大学教
授)、武者孝幸(ジャーナリスト)、林聡彦(コンサルタント)、藤倉良(法政大学
教授)
  監 事 亀山保(映像プロデューサー)
  事務局長 中村玲子(ライター)
なお、2011年度も、数多くの事務局ボランティアのみなさんが、大きな力を貸してくれました。RCJが2つのAWSと、複数のKODOMOラムサール開催を実現できたのは、みなさんのおかげです。渡辺美沙、大久保香苗、佐々木優、白石拓也、村田奈都希、新井由美子、宮崎理恵、佐久間友里、阪本森人、岡本嶺子、笠原雅子、高田惇子のみなさん。どうもありがとうございました。




【2012年度(2012年4月~2013年3月)の活動計画】
 基本方針:
2012年度は「第7期中期計画(2009~2012年)」最終年度で、「ラムサールCOP11(ルーマニア/2012年6月19~26日)」への貢献を具体化する年です。2回のAWS(サバ、無錫)の成功の成果を届けることを大きな目標に活動します。
「ESDのためのKODOMOラムサール」は第2年度となり、RCJの日中韓子ども湿地交流、KODOMOラムサール/バイダバの経験を基礎に、2014年のDESD世界会議に、具体的にどう貢献できるかを考えつつ、活動をさらに強化します。
「JICA草の根技術協力事業」はチリカ湖のプロジェクトが不採択でしたが、バングラデシュ・ポーシュから素案とともに要請がきており、今後どうするかをRCJ役員会、専門委員会中心に検討していきます。
1「AWSサバ・無錫」の成果の普及   
 ラムサールCOP11(7月、ブカレスト)に参加し、ブース展示をするとともに、AWS無錫2011の概要報告をメインに、これまでのAWSの軌跡と成果をまとめた冊子「Asian Wetland Symposium: A Journey from Otsu to Wuxi」を発行、COP11の参加者に配布します。また、AWS成果「サバ行動宣言」と「無錫行動宣言」(ともにオリジナルは英語)をアジアの言語を中心に13か国語に翻訳、普及に努めます。
 CBD_COP11(10月 ハイデラバード)でも、成果の普及をはかる計画です。
2「ESDのためのKODOMOラムサール」プロジェクト: 
今年度も実行委員会(RCJ、積水化学、専門家)を継続し、活動をつづけます。「エコライフ・フェア2012」(6月)への出展。積水化学工業65周年に協力しての「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流in琵琶湖」(8月)、インド環境協会と協力しての「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流inハイデラバード」(10月インド)、名古屋市ほかと協力しての「ESDのためのKODOMOラムサール<藤前干潟> 」(11月)、さらに「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流inチェンマイ(予定」を、2013年1月に計画しています。
 昨年好評だった「ファシリテーター研修」も、 内容を深化して継続の予定です。
FAネットワークが中心になっておこなう「NEC学生バードソン」(募金イベント)の今年の寄付先がラムサールセンターの「ESDのためのKODOMOラムサール」プロジェクトの決まりました。東北地方の子どもたちをイベントに参加させるのに使ってほしいとの要望に沿って活用する計画です。
3 国内登録湿地追加にともなう協力
 環境省がおよそ3年ごとに発行している「日本のラムサール条約湿地」パンフレットの製作に協力するのをはじめ、新規登録湿地へのCEPAに協力していきます。
4.エコライフフェア2012<湿地の恵み展>:
従来の実行委員会形式でなく、RCJ単独で開催し、新規登録の9湿地の普及啓発に協力します。
5 生きものと人・共生の里を考えるシンポジウム:
 2012年度は佐渡での開催が決まっています。ラムサールと生物多様性、里山イニシアティブをつなぐ有効な事業と評価してきただけに、佐渡市、豊岡市、周南市、出水市、ナベヅル保護協会などとも協力して、継続に努力。「ESD」との連携も検討します。
6 チリカ湖、バングラデシュ沿岸域などのプロジェクト形成について
JICA草の根事業に、再度応募するかを含め、専門委員会を中心に検討を継続します。国土緑化推進機構の緑の国際基金にインド・ビタカニカ地域の植林事業や、トヨタ環境助成にバングラデシュの沿岸湿地管理で応募するなど、新たな活動開始を探ります。
7 海外NGOへの支援活動:
2012年度は、地球環境基金の代理人として、次の海外NGOプロジェクトを中心に支援します。
・パリシュリ(インド、ダス代表)/代理人武者孝幸
「ビタカニカ湿地」(3年計画1年目)
 ・インド環境協会(インド、デッシュ代表)/代理人長江珠子
  「CBD_COP10に貢献する『生物多様性保全のための湿地クラブ』活動」(3年計画2年目)
・ポーシュ(バングラデシュ、サノワ代表)/代理人ラムサールセンター
  「モヘシュカリ島沿岸における住民参加型の生態系アプローチ適応プログラム」(3年計画2年目)
 ・ネパール湿地協会(ネパール、ビシュヌ代表)/代理人岩間徹
  「カトマンズ市民の水源地どはっぷ湿地~バグマチ川の水環境を守る行政・子ども・コミュニティによる『学んで行動、行動で学ぶ』運動」  
 なお、WI中国の「ESD/湿地の学校」も地球環境基金で採択されましたので、連携、協力していく予定です。  
8 RCJの基本活動:
例年どおり、最も重視する基本活動として継続します。とくに第7期中期計画が終了するので、COP11の方針を受けて、新しい計画づくりに注力します。
昨年度は、ワイズユースWS本来の「勉強会」として不十分だったことを反省し、各分野の専門家を招いて開催していきます。ラムサール通信も従来どおり発行していきますが、主な活動の「KODOMOラムサール」メンバーだけでも400人以上となるため、連絡・広報にはハガキ活用のほかメーリングリストなどの充実をはかります。
CEPA活動としては、『ESD・持続可能な地球のためにハンドブック』発行、『ラムサール条約ハンドブック』の改訂を予定しています。
9 組織・事務局報告:
  2011年度の体制を継続します。次のとおりです。
  会 長 安藤元一(東京農業大教授)
  副会長 磯崎博司(上智大教授)、岩間徹(西南学院大教授)、菊地邦雄(元法政大教授)、
      武者孝幸(ジャーナリスト)、林聡彦(コンサルタント)、藤倉良(法政大教授)
  監 事 亀山保(映像プロデューサー)
  事務局長 中村玲子(ライター)


●第89回<ワイズユース>ワークショップ開催報告●

2012年5月26日、RCJ総会に引きつづき、ネパール湿地協会のBishnu Bhandariさんを招いてワイズユースワークショップを開催しました。過去10年近い政治的に不安定な状況を反映し、生きた情報がなかなか入ってこないネパール・カトマンズの環境問題、湿地保全の現状について、「ネパールの情勢と環境問題」を講演してもらいました。給水制限、計画停電が日常茶飯の厳しい現実に、参加者は耳を疑いました。


●エコライフ・フェア2012出展報告●

2012年6月2~3日に環境省主催のイベント「エコライフ・フェア」が東京・代々木公園で開催され、ラムサールセンターは、ラムサール条約登録湿地関係市町村会議と環境省野生生物課の協力で、「ESDのためのKODOMOラムサール・湿地の恵み展」 のテーマでブース出展。人と自然が共生する豊かな地球環境を次世代に残すための環境教育プログラム「KODOMOラムサール」の普及啓発と、例年のように、日本のラムサール条約登録湿地の「観光と物産」をPRしました。
7月のラムサール条約COP11で新しく登録予定の9湿地を含めた46湿地の関係都道府県・市町村、団体に参加を呼びかけた結果、29登録湿地、25団体から参加申し込みがあり、提供された各湿地の物産やチラシ、ポスターなどを展示し、入場者に配布、説明などをおこないました。子どもから大人まで参加できる“名物イベント”にもなった「ラムサール登録湿地クイズ」も実施し、46湿地の特徴、代表的な生き物、観光名所、物産、名物などをPRしました。
慶良間諸島海域(渡嘉敷村)、荒尾干潟(荒尾市)、円山川下流域・周辺水田(豊岡市)、立山弥陀ヶ原・大日平(立山町)が担当者を派遣してくれ、環境省野生生物課の柳谷牧子さん、井上浩二さん、WI-Jの名執芳博さん、小畑知美さん、ラムサールセンターのボランティアスタッフ、Field Assistant Networkの大学生、KODOMOラムサールのリーダーなど2日間で約20人がスタッフとして対応しました。
エコライフ・フェア本部の集計によると、今年の入場者は、2日間で約66,000人でした。なお、2日夜の懇親会には、14人が参加し、湿地・団体間で楽しく情報交換する場となりました。
お手伝いのみなさん、来場者のみなさん、ありがとうございました。



●NEC学生バードソン2012●
ラムサールセンターチームも参加しました

今年の6月10日に開催された、NEC学生バードソンにラムサールセンターがチーム参加し、神奈川県の舞岡公園~葛西臨海公園を歩き、計29種の野鳥を観察しました。以下その報告です。
桜美林大学の古屋翔太です。6月10日の学生バードソンに参加しました。当日は午前8時10分に地下鉄の舞岡駅に集合し、僕と大久保香苗さん、岡島さん、岡本嶺子さん、長倉恵美子さんの5人で舞岡公園に向かいました。公園に到着するまでにメジロやカルガモ、シジュウカラ、ウグイスなどを発見、そして到着。さすが自然公園!鳥の鳴き声がすごいです。プロの人になれば、鳥の姿を見なくても鳴き声だけで判断できるそうですが、僕にはまだできそうにありません。
田んぼに向かうと鮮やかな青色の羽を持つカワセミに出会いました。田んぼの中央の棒にとまり、じっと水面を眺め、狙いを定めてダイブ。
オタマジャクシをくわえて戻ってきました。何度もダイブするのを見ましたが、獲れたり獲れなかったりと、あまり成功率は高くないようです。その後、公園の奥で、土手の野草が動いているのを発見。怪しいと思い掻き分けてみるとヤマカガシがヒキガエルを、いままさに飲み込もうとする場面でした。ヤマカガシは離すまいと食らいつき、ヒキガエルは食われまいと必死で体をよじって抵抗していました。
その後、みなさんは、葛西臨海公園へ移動し、水鳥などを観察し、29種類となりました。今回の活動に参加して、改めて鳥の面白さや食物連鎖の事を考えさせられました。
古屋翔太


●「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流<琵琶湖>」開催のお知らせ●

2012年8月4日~5日、滋賀県琵琶湖周辺を舞台に、「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流in琵琶湖2012」を開催します。
この活動は、「ESDのためのKODOMOラムサール」実行委員会のメンバーである積水化学工業が、創立65周年事業として、同社従業員の子どもをアメリカ、メキシコ、ドイツ、オランダ、タイ、中国、韓国、日本から招いて実施する「世界こどもエコサミット2012」(7月31日~8月8日)に協賛するもので、参加する世界の子どもたち80人と、琵琶湖で活動する地元の子ども代表を対象として開催します。
テーマは「水と人々の暮らし」です。石けん運動やヨシ保護条例など日本の環境運動をリードしてきた滋賀県の協力を得て、ラムサール条約登録湿地の琵琶湖を守ってきた人々の暮らしと子どもたちの活動を見学、体験して「水のたいせつさ」を学び、子どもたちが地球規模でいっしょに「できること、やらなければいけないこと」を考え、話し合い、国際交流を深めます。


●「ESDのためのKODOMOラムサール<ハイデラバード>」のお知らせ●

10月8日~19日にインド・ハイデラバードで生物多様性条約COP11(CBD_COP11)が開催されます。これにあわせ、RCJと協力関係にあるNGO「インド環境協会」(本部デリー)が協力して、「ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流<ハイデラバード>」を10月6~8日(予定)に開催し、日本から子ども代表を派遣します。詳細が決まり次第、参加者を募集します。


●「ESDのためのKODOMOラムサール<藤前干潟>」開催のお知らせ●

11月17~18日は、名古屋市の藤前干潟で「藤前干潟ふれあいデー」が開催され、それに協賛して、「ESDのためのKODOMOラムサール」を計画中です。追ってお知らせします。


●地球環境基金、平成24年度「海外派遣研修~マレーシア~」募集開始●

2009年度、2010年度とRCJが受託して協力した地球環境基金の「NGO海外派遣研修」が、日本マレーシア協会の企画で、マレーシアをフィールドにした熱帯の森林と湿地保全の現場を訪ねるプログラムとして実施されます。RCJは事務局長の中村玲子さんを派遣して協力します。
募集要項は以下をごらんください。
http://www.erca.go.jp/jfge/training/h24/haken.html


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