ラムサール通信
2011年6月21日発行 第140号


●「エコライフフェア2011」出展報告●
「ESDのためのKODOMOラムサール」キックオフ宣言
 6月4〜5日、東京都渋谷区の代々木公園で、エコライフフェア2011(環境省主催・入場者73,000人)が開催され、ラムサールセンターは、「ESDのためのKODOMOラムサール」のブースを出展し、これまで9年間の〈KODOMO〉シリーズに参加した代表が集まって、今年からはじまる「ESD運動」をスタートさせました。
 ブースでは中村大輔先生と積水化学のジェームズさんと子どもたちがキックオフ宣言をし、藤倉まなみ先生(桜美林大学教授)によるESD特別授業がおこなわれたほか、子どもたちが送ってくれたメッセージとイラストなどを、クジラと水鳥の大きな絵に貼って完成させました。そして、新しく作ったキャンペーン用のESD‐Tシャツを着て、チラシを配布し、「ESD(持続可能な開発のための教育)」の重要性を来場者に広めました。
 野外ステージでは、藤前干潟から参加してくれた劇団シンデレラによる生きものミュージカル、「ネイチャー」が上演され、谷津干潟のレンジャー小山文子さんがスピーチしました。
 2日間で全国からKODOMO27人、大人36人が駆けつけてくれ、活気にあふれたESD-KOD
OMOラムサール」イベントとなりました。今後は、国内とアジアの湿地で「ESD-KODOMOラムサール」を開催していきます。みなさん、ご協力をよろしくお願いします。
 合言葉は、「持続可能なちきゅうのために/みんなで地球をサステイナブル」です。

【こんな人たちが来てくれました(順不同)】
中村大輔、James McGill、藤倉まなみ、藤倉良、渡辺美沙、佐藤奈津子、今井元海、島田義夫、小山文子、吉井美帆、吉井美咲、吉井清美、山本賢樹、日田琥珀、藤倉快、戸苅辰弥、後藤香穂、後藤真衣、早川翼、吉良朋晃、佐藤勇一郎、田浦悠也、早川徹、仁田美央、仁田ゆき、仁田文子、仁田博史、フローレスともこ、後藤昌弘、伊藤健一、高畑達也、北村泰一、渡辺朋行、安井京子、長谷川咲、伏谷彩、黒田愛香、伊藤優衣歌、大崎志帆、吉井友佳子、上田真子、浅井萌香、安井美月、高木亜寿砂、伊藤美津葉、安井大空、田辺篤志、高橋睦、李昇京、長谷川敬祐、亀崎愛、島谷幸一、飯田篤司、大久保香苗、北本健人、深澤真梨菜、中村秀次、林聡彦、名執芳博、亀山保、長倉恵美子、冨永恵、山田真理、中村玲子、武者孝幸、岡本嶺子、佐々木優、大原みさと、そしてブースに来てくれた、名前を確認できなったおおぜいのみなさんでした。

 【メッセージを送ってくれた人(順不同)】
森美月、森智子、太田叡、福士竜摩、中谷匡兵、中谷好伽、森菜津美、福士明里、早川つばさ、市川龍斗、織田美優、吉良朋晃、吉田あかね、三橋知典、後藤真衣、中村大地、田浦悠也、成塚文野、成塚文野、後藤香穂、安藤輝


  ESD-Tシャツを着て、キャンペーンに参加しよう●
  「ESDのためのKODOMOラムサール」運動を広めるためのTシャツができあがり、エコライフフェア2011のイベント会場でおひろめしました。まだまだ耳慣れない「ESD」という言葉を、多くの人に広めるためのキャンペーンTシャツです。デザインは、KODOMOラムサールのメッセージTシャツを手がけてくれた岡本一宣さん。値段は1枚2,000円、サイズはSSXL、色は白とロイヤルブルー。これまでに〈KODOMO〉活動に参加したことがある子どもには1枚1,000円で販売します。売上げは「ESD」活動に還元していきます。
 ESD−Tシャツを着て、活動を全国に広めるお手伝いをしてください。よろしくお願いします。
●ラムサールセンター第21回総会報告●
AWS(サバ/無錫)を成功させて「ラムサールCOP11」へ
持続可能な地球のために「ESDKODOMOラムサール」を大きな運動に
 ラムサールセンター(RCJ)の第21回総会が、2011年5月29日(日)、東京のJICA地球ひろば会議室で開催されました。安藤元一会長はじめ、武者孝幸、林聡彦、中村玲子、亀山保、名執芳博、藤倉良、富岡辰先、長倉恵美子、小松潔、大村弥加、今井元海、佐々木優、中村秀次、岡本嶺子、岩崎慎平の16人の会員が参加しました。
 2010年度は、ラムサールCOP11(ルーマニア/2012年6月19〜26日)を目標とする第7期中期計画(2009〜2012年)の第2年度として、「アジア湿地シンポジウム(AWS2011)」の準備を中心に、CBD_COP10(名古屋)のための「KODOMOバイオダイバシティ」のまとめ事業、ラムサール決議].31(水田決議)のフォローアップ国際会議、地球環境基金の受託事業「海外派遣研修」など、多彩な活動が展開され、大きな成果をあげました。
 2011年度は、いよいよ「AWSサバ2011(7月)・AWS無錫2011(10月)」が開催され、新規事業「ESDのためのKODOMOラムサール」(地球環境基金助成)が3年計画でスタートします。会員、RCJ応援団のみなさんのご支援、ご参加をよろしくお願いします。
 以下、2010年度の活動報告と2011年度の活動計画を報告します。会員のみなさんには決算報告と予算計画を別添します。
【2010年度(2010年4月〜2011年3月)活動報告/別添「活動日誌」参照)】
1.「アジア湿地シンポジウム(AWS2011)」開催の準備:
 AWS開催公募に、マレーシア国サバ州政府(天然資源部)と中国政府(国家林業局)から招致があり、事務局長をコタキナバルと北京に派遣して交渉。環境省とも協議。2011年に2回開催することに決定。「KODOMOバイダバ国際湿地交流in琵琶湖」開催中の8月7日、国際運営委員会(ISC)を招集して方針を確認。準備をスタートさせました。なお、経団連自然保護協議会の後援と基金助成、環境省の後援が内定し、次の日程で開催します。
 ・AWSサバ2011(第5回)」 
   7月18〜20日 マレーシア国サバ州コタキナバル市
 ・AWS無錫2011(第6回)」 
   10月11〜13日 中国江蘇省無錫市
2.「水田決議」フォローアップ国際ワークショップ開催:
 「KODOMOバイダバ琵琶湖」開催中の8月7日、高島市で、ラムサール決議].31「湿地システムとしての水田の生物多様性の向上(水田決議)」の実施をめぐるフォローアップ国際ワークショップを、環境省、東アジア地域ラムサールセンター(RRC-EA、韓国)、WI-Jなどと共催。Rebecca、Amado、Bishnu、Sanowar、Mashhor、Ajit、Joo、Chenなどのアジア会員とともに、決議の実施のためのフォローアップを検討しました。
 その後、2010年11月に韓国・昌原で、2011年3月にシンガポールなどで関連会議が開催され、事務局や会員のAmado、Rebecca、 Joo、 Sanowar、 Bishnuなどが参加しました。
3.「KODOMOバイオダイバシティ」運動:
 「KODOMOバイオダイバシティ(生物多様性条約と生きものを守る子どもたちの運動)」事業は、滋賀県と積水化学工業とで実行委員会を組織する「行政・企業・NGO」の新しい枠組みで実施され、2010年10月の
「CBD_COP10(名古屋)」に貢献する活動として、次のように実施されました。
 ・5月1日 「セキスイKODOMOバイダバ<藤前干潟>」
   *子ども60人ほか。
 ・6月19〜20日 「KOODMOバイダバ<蕪栗沼・周辺水田>」
   *10湿地の子ども28人ほか。
 ・8月5〜8日  「KODOMOバイダバ国際湿地交流in琵琶湖」
   *全国16湿地・アジア5湿地の子ども78人ほか。
 活動報告は、『KODOMOバイオダイバシティ―活動記録・感想文集2010(ビデオ添付)』として刊行、参加者に配布されました。
 関連して、環境省「生物多様性国際ユース会議」(名古屋/8月)に、KODOMO代表として佐藤奈津子(釧路湿原)、大谷慧(宍道湖)、今井元海(尾瀬)さんが参加しました。
4.CBD_COP10への「KODOMOバイダバ」の貢献:
 10月11〜29日、CBD_COP10国際交流フェアに、「KODOMOバイダバ」ブースを出展。久米島〜琵琶湖まで2年間9回のKODOMOバイダバに参加した360人の子ども代表47人が、23〜24日の「再会フェア」に全国から集合し、劇団シンデレラとともにCBD_COP10の活動の成果をアピールしました。メディアが大きく報道。ブースでは、「絶滅させたくない生きものアンケート」を実施、714人の回答を集約。また、多くの会員、子どもたちがCOP10の本会議に参加しました。
 CBD_COP10はさまざまな問題をかかえながらも、全体的には成功といえるでしょうが、RCJが期待していたCEPAの視点では、「COP10会議が…」報道に象徴されるように、メディアの不勉強もあって、大きな成果はあげられませんでした。
5.「エコライフフェア2010<湿地の恵み展>」開催:
 5年目事業。6月5〜6日、代々木公園で、WI-J、ラムサール湿地関係市町村会議と実行委を組織して開催。全国17の関係団体が参加。湿地の恵み満載のパンフレットを配布し、ラムサール条約と37登録湿地をPR。FAネットや法政大の学生ボランティアなどが協力してくれました。
6.「トキと湿地」プロジェクト:
 ラムサール条約と生物多様性条約にとって重要なテーマとして、「やまや」の支援で継続してきた「○○にトキが来たら、どうする?」ワークショップは、日程など開催環境が整わず、見送りました。仙台が本社のやまやは東日本大震災で被災しましたが、企業活動を再開しています。
 佐渡市は、トキが生息する湿地「加茂湖・周辺水田」のラムサール登録をめざす勉強会を発足させ、3月7日、岩間・中村さんが講師として招かれました。
7.「生きものと人・共生の里を考えるシンポジウム」のCBD_COP10への貢献:
 2009年11月で周南(ナベヅル)、豊岡(コウノトリ)、佐渡(トキ)、出水(ナベヅル・マナヅル)の4市開催が一巡し、CBD_COP10名古屋で、自治体の活動成果として発表されました。
8.「アジア湿地の学校<ボルネオ編>」の開催:
 湿地の学校は、アジアの子どもたちが湿地をフィールドに国際協力を実践する環境教育活動で、RCJの提唱で2003年にはじまった「日中韓3国子ども湿地交流」をWI中国が継承してきたイベントで、2011年3月15〜19日、マレーシア・サバ州のラムサール湿地「キナバタンガン河口」マングローブ湿地で開催。藤前干潟、矢並湿地、琵琶湖の5人の子ども代表と引率、RCJスタッフ4人が参加しました。アジア会員は、Chen、 Sanowarが参加。
9.地球環境基金「海外派遣研修<タイ・インド>」の実施:
 地球環境基金の受託事業。8月18日〜9月8日、タイ(バンコク、チェンマイ、チェンライ)〜インド(コルカタ、ブバネシュワル、ビタカニカ湿地、チリカ湖)で実施。マヒドン大、チェンマイ大、滋賀大、パリシュリなどの協力で、研修生6人を武者、中村、市川、岩崎さんが引率。
過去2年受託した「国際協力講座」は今年、海外環境協力センターが受託。RCJは協力しました。
10.海外NGOへの支援活動:
 地球環境基金の代理人として、バングラデシュ・ポーシュ「気候変動適応リスクマネジメント開発モデル事業」(3年計画の3年目)と、インド・パリシュリ「ビタカニカ湿地の環境再生アウェアネス活動」(3年計画の2年目)を支援。ポーシュには12月に事務局と会員の新田さんがワークショップに参加、パリシュリには9月、海外派遣研修メンバーが研修として実践活動に参加しました。
11.湿地の保全と賢明な利用のためのCEPA活動:
 昨年の総会で、今年度の活動方針として、要約、次のように確認しました。
「条約では湿地の登録は必ずしも目的ではありません…湿地の価値に優劣があるわけではなく、すべての湿地が守られなければなりません…登録湿地は37になりましたが28都府県にはなく、そうした地域では湿地への関心が薄いことが問題です/登録湿地の管理の不十分、レンジャーなど指導者養成の未確立、国際協力視点が欠如していて、これらの課題解決にはCEPAの強化が必要です」
 しかし、この1年、大きな前進はありませんでした。生物多様性条約も同じで、CBD_COP10は人々の認識向上の絶好機会でしたが、メディアの不勉強もあって、有効に生かせませんでした。
 CEPA教材として、次の2冊のRCJ「ハンドブックシリーズ」を刊行しました。
 ・『外来種・遺伝子組換え生物ハンドブック』
   磯崎博司・藤倉良監修/自然情報事務所発行
 ・『生きものを守る―バイオダイバシティハンドブック』
   藤倉良著/自然情報事務所発行
 なお、総会で、今後、HP上で、PDF形式でダウンロードして広く活用できるようにすべきでは、との提案があり、順次、公開することになりました。
12.JICA専門家へのスタッフ派遣:
 事務局スタッフの市川智子さんが、JICAの「ボルネオ生物多様性・生態系管理保全プロジェクト(マレーシア・サバ州コタキナバル)」に、湿地CEPAの専門家として派遣されました。任期は2011年3月〜2012年9月の1年半です。RCJ関係者は、これまでもJICAプロジェクトにさまざまな形で協力してきましたが、事務局から派遣するのは初めてのこと。これから、こうした国際協力人材の養成に力をいれていきたいと考えています。
13.RCJの基本活動:
 RCJが重視する基本活動で、ワイズユースWSは目標の年4回開催しましたが、活動日誌でわかるとおり大きな行事が連続したため、本来の調査・研究の勉強会としては不十分でした。
 ラムサール通信は130号〜136号と、目標の年6回以上発行できました。子どもを含めると600通にもなるため、連絡通知号(130、132、134)はハガキを活用しました。ラムサール通信の内容は、ほぼ同時にHPにも掲載しました。
 各種シンポジウムには例年どおり協力、参加しましたが、NGO主催のものは減少傾向でした。
 1) ワイズユースワークショップ:第84〜87回の4回開催。
 2) ラムサール通信:第130号〜136号の7回発行。
 3) ホームページの運用:ラムサール通信の配信のほか、連絡・広報として活用。
 4) 各種シンポジウム、ワークショップへの協力と参加:必要性・重要性を判断して対処。
14.組織報告:
 会員は112人(国内会員92人、国際会員20人)でした。これまでもたびたび論じられてきた組織体制の整備について、「NPO法人など組織体制のありかたを改めて検討すべき」との提言があり、 次年度以降の検討事項としました。
15.決算報告: *別紙「会計報告」参照
【2011年度(2011年4月〜2012年3月)の活動計画と予算計画】
基本方針:
 2011年度は「第7期中期計画(2009〜2012年)」第3年度で、「ラムサールCOP11(ルーマニア/2012年6月19〜26日)」への貢献を具体化するため、2回のAWS(サバ、無錫)を成功させことが活動の中心になります。締約国が増え「地域」の役割が重視され、AWSへの期待は大きく、].31「水田決議」のフォーアップも含め、しっかりと取り組んでいきます。
 「KODOMOラムサール」の成果を継承、発展させる新たな運動として「ESDのためのKODOMOラムサール―持続可能な開発のための環境教育」3年プロジェクトをスタートさせます。ESDは日本政府が提唱した国連運動で、めざしている「持続可能な開発」はラムサール条約の「賢明な利用」と同質であり、2014年のゴールをめざして基礎を築き、軌道に乗せることに力を注ぎます。
 その他、前年度からの継続事業、RCJの基本活動は、従来どおりの方針で進めます。
 課題の財政健全化については、出費のともなう新規活動をひかえ、事務局の効率化に努めます。
 チリカ開発公社(パトナイク代表)から要請のあった「JICA草の根技術協力事業」立案に関しては、事業規模が大きく、会員の合意形成と協力が必要で、専門委員会の立上げを検討します。
1.「アジア湿地シンポジウム・サバ(AWS Sabah 2011)の開催: *詳細は別紙参照
 マレーシア・サバ州とJICAで取り組む「ボルネオ生物多様性・生態系保全プログラム(BBEC)」の一環としてサバ州政府の主催、マレーシア天然資源省・JICA・RCJの共催、環境省・経団連自然保護協議会(基金)・ラムサール条約事務局・HSBCなどの協力で7月18〜20日、ボルネオ島コタキナバル市で開催します。
「生物多様性と湿地」をテーマに、湿地生態系の包括的な生物多様性保全を可能にする戦略、手法を明らかにすることを目標に、「ビジネスと湿地の生物多様性」など6分科会で議論し、「サバ宣言」を採択して報告書にまとめ、ラムサールCOP11への提供をめざします。
ボルネオの湿地・生物多様性のエクスカーション、日本の子どもも参加する「子どもキャンプ」もおこなわれます。
2.「アジア湿地シンポジウム・無錫(AWS Wuxi 2011)の開催: *詳細は別紙参照
 中国は、黄河と長江の2大河川で代表される「湿地の国」。アジアでもっとも多くの人々が、湿地の恵みで暮らしています。その湿地とラムサール条約を管轄する中国国家林業局(北京)から、AWSの招致があり、10月11〜13日、江蘇省の工業都市、無錫(ウーシー)で開催します。
 国家林業局・江蘇省人民政府・WI・RCJ主催、国家林業局湿地管理保全部・江蘇省林業局・無錫市人民政府・環境省・経団連自然保護協議会(基金)・JICAほかが共催・協力します。
「豊かな暮らしと湿地」をテーマに、湿地と森林保全・気候変動・健康・農業・観光など6分科会で議論し、水田決議のフォローアップもおこない、「無錫宣言」を採択する予定です。中国側は、AWSの成果を、ラムサールCOP11に決議案として提出することを検討しています。
 無錫は、長江中流域の景勝地、ラムサール条約登録湿地「太湖(タイフ)」湖岸の工業都市で、近年、めざましい発展を遂げ、日本企業も多く進出しています。水質汚染が激しく、国・省・市あげて環境改善に取り組み、成果をあげています。上海からバスで約1時間。中国の湿地行政、市民参加型環境運動の実情を知る絶好の機会です。
 RCJは、積水化学工業・WI中国と協力して、「ESD・KODOMOラムサール」も開催します。
3.「ESDのためのKODOMOラムサール」プロジェクト: *詳細はHP参照
 RCJが2002年から取り組んできた環境教育、「日中韓子ども湿地交流」「KODOMOラムサール」「KODOMOバイオダイバシティ」の成果を、日本の提唱で国連が推進する「ESD(持続可能な開発のための教育)」運動に合流させる事業として、地球環境基金助成で、3年計画で実施します。
 実行委員会(委員長:安藤元一会長)を中心に、運動を専門的立場から指導するアドバイス委員会(委員長:佐藤真久東京都市大学准教授)、運動推進役のリーダー委員会(ファシリテーターリーダー、KODOMOリーダー)を組織して進めますが、「KODOMOラムサール〜バイダバ」で中村大輔先生が開発してきたプログラムを発展させる内容で取り組みます。
「持続可能な地球のために」「みんなで地球をサステイナブル」が合言葉です。
 このプロジェクトは国内だけでなくアジアへの普及啓発を目標に、WI中国やタイのチェンマイ大、マヒドン大と協力して、「国際KODOMO交流」活動として取り組み、「国連ESDの10年(DESD)」のゴールとなる2014年の「全体総括会議」(日本開催)への具体的な貢献をめざし、担当する環境省環境教育推進室と連携して進めていきます。
 6月4〜5日のエコライフフェア2011で「キックオフ宣言」してスタートしました。
4.エコライフフェア2011<湿地の恵み展>:
 登録湿地の活動を首都圏に紹介・情報発信して、「ラムサール」運動の拡大をめざすイベントとして定着した6年目の事業で、6月4〜5日、代々木公園で、WI-J、ラムサール条約登録湿地関係市町村会議と実行委員会を組織して開催し、全国17団体、18湿地が参加しました。RCJのESDブースと連結して、FAネットや大学生ボランティアが協力してくれました。
5.トキと湿地プロジェクト:
昨年実現しなかった「○○にトキが来たら、どうする?」ワークショップの首都圏開催を探ります。トキ問題は、「佐渡」の「野生繁殖」だけにフォーカスされ、肝心の「全国」の「湿地・水田生態系の再生」が置き去りにされ、このままでは、事業価値は半減します。トキが生息する湿地「加茂湖・周辺水田」のラムサール登録をにらみながら取り組みを検討します。
6.生きものと人・共生の里を考えるシンポジウム:
 ラムサールと生物多様性、里山イニシアティブをつなぐ有効な事業と評価してきただけに、周南市、ナベヅル保護協会などと協力して、継続に努力します。「ESD」との連携も検討していきます。
7.チリカ湖再生プロジェクト形成について:
 チリカ湖では、2000年の新湖口開削によって、環境改善と漁獲回復を実現し、モントルーレコードから除外され、その後、2006〜2008年、JICA「チリカ湖環境保全と自然資源の持続可能な利用計画」プロジェクトが実施されましたが、根本的な環境再生、漁業資源管理、住民の貧困解消は達成されず、チリカ開発公社の代表に復帰したパトナイクさんから「プロジェクト再構築の要請書」が届けられ、「JICA草の根技術協力事業」として新たなプロジェクト形成を検討しています。
 事務局は、JICA事業に詳しい会員の土居正典さんをまじえて検討、事業シミュレーションなどもおこない、草の根技術協力用の企画案、「住民参加によるチリカ湖の生態系・生物多様性の保全と漁業資源の持続可能な利用を実現するためのCEAEを拠点とするCEPAプロジェクト」の草案をまとめ、JICA窓口のNGO連携課担当者との話しあいを開始しました。
しかし、かつてない大きなプロジェクト規模で、会員の合意形成と協力が不可欠なことから、専門委員会の立上げを含め、慎重に準備を進めていきます。
8.海外NGOへの支援活動:
 2011年度は、地球環境基金の代理人として、次の海外NGOプロジェクトを中心に支援します。
 ・パリシュリ(インド、ダス代表)/代理人武者孝幸
   「ビタカニカ湿地の環境再生アウェアネス活動」(3年計画3年目)
 ・インド環境協会(インド、デッシュ代表)/代理人長江珠子
  「CBD_COP10に貢献する『生物多様性保全のための湿地クラブ』活動」
    (3年計画1年目)
 ・ポーシュ(バングラデシュ、サノワ代表)/代理人ラムサールセンター
  「モヘシュカリ島沿岸における住民参加型の生態系アプローチ適応プログラム」
    (3年計画1年目)
 WI中国の「湿地の学校」は不採択でしたが、RCJの「ESD」と連携、協力していく予定です。
9.RCJの基本活動:
 例年どおり、最も重視する基本活動として継続します。昨年度は、ワイズユースWS本来の「勉強会」として不十分だったことを反省し、各分野の専門家を招いて開催していきます。ラムサール通信も従来どおり発行していきますが、主な活動の「KODOMOラムサール」メンバーだけでも400人以上となるため、連絡・広報にはハガキ活用のほかメーリングリストなどの充実をはかります。
CEPA活動としては、『ESD・持続可能な地球のためにハンドブック』の発行を予定しています。
 ・ワイズユースワークショップの開催
 ・ラムサール通信の発行/メーリングリストの運用
 ・ホームページの運用
 ・各種シンポ、ワークショップへの協力と参加
 ・CEPA教材、ツールの開発製作
 ・登録湿地の管理や新規登録への支援
 ・その他、関連する事業の推進
10.組織・事務局報告:
 事業が拡大し、役員体制強化が必要となり、藤倉良さん(元会長、法政大学教授)が副会長に新任となり、新しい役員体制は次のとおりとなりました。
  会 長  安藤元一(東京農業大学教授)
  副会長 磯崎博司(上智大学教授)、岩間徹(西南学院大学教授)、
        菊地邦雄(元法政大学教授)、武者孝幸(ジャーナリスト)、
        林聡彦(コンサルタント)、藤倉良(法政大学教授)
  監 事  亀山保(映像プロデューサー)
  事務長 中村玲子(ライター)
11.予算計画: *別紙「予算計画」参照
●AWS無錫2011(10月11〜13日・中国)に参加を募ります●
 これまでもご案内してきたように、2011年10月11〜13日、中国江蘇省無錫市で、アジア湿地シンポジウム(AWS)が開催されます。AWSは、1992年に日本(大津市・釧路市)で第1回が開催され、2001年にマレーシア・ペナン、2005年にインド・ブバネシュワル、2008年にベトナム・ハノイと継続し、今年は7月にマレーシアのサバ州コタキナバル、ついで無錫市でも開催されます。中国でははじめての本格的な国際湿地シンポジウムとなります。
 論文発表の申し込み、早期登録の締め切りは6月30日、まだ間に合います。第2回ご案内を同封します。ひとりでも多くの方の参加をお待ちしています。


●新入会員、受付中です● 
  ラムサールセンターは、アジアにおけるラムサール条約の普及と、湿地の賢明な利用の実現をめざし、CEPA(対話、教育、参加、普及)活動を推進するNGOです。現在、日本とアジアに約120人の会員がいます。ラムサールセンターの基本認識と規約は、ホームページに掲載されています。趣旨に賛同し、活動に参加してくれる仲間をお待ちしています。

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