ラムサール通信
2009年3月22日発行 第121号


フィールド・ワークショップ<久米島>のご案内
固有種クメジマボタルを鑑賞し、キクザトサワヘビの渓流を歩きましょう

 ラムサールセンター(RCJ)では久しぶりにワイズユースワークショップのフィールド版を開催します。今回の舞台は、昨年、ラムサールCOP10で新しく登録湿地になった「久米島の渓流・湿地」(沖縄)です。
沖縄本島から西100キロの位置にある面積5900へクタール、周囲48キロの小さな島ですが、ラムサール条約登録の根拠となった水中に棲息する珍しいヘビ「キクザトサワヘビ」はじめ、クメジマボタル、クメジマミナミサワガニなど、地球上でここにしか生息しない固有種が多数確認されている生物多様性の宝庫です。とくに4月下旬〜5月上旬は、クメジマボタルの集団発光を観察するのに絶好のシーズン。地元の専門家の話を聞き、特産品を味わいながらの懇親会も予定されています。
なんと、小さな川の源流から山の頂上までの255ヘクタールが登録湿地になった、「びっくり仰天のラムサール湿地」を、ぜひ、ご自分の目で。

フィールド・ワークショップ<久米島>

・日時 2009年4月24日(金)〜26日(日)
・場所 沖縄県久米島町(ラムサール条約登録湿地「久米島の渓流・湿地」と周辺の自然
・行程(予定):
4月24日(金): 午後:羽田発 那覇経由で夕方に久米島着
クメジマボタルの集団発光を観察。久米島ガーデンヒルズ(予定)泊 
4月25日(土): 午前:久米島の渓流・湿地見学
午後:ワークショップ 久米島の歴史、風土、環境、生生物多様性について学習
:地元関係者との懇親会 久米島ガーデンヒルズ泊
4月26日(日): 午前:島内観光
夕方〜夜:那覇経由で帰京。
・参加費用: 40000〜45000円程度
(羽田からの往復航空券+ホテル2泊のパッケージ購入の場合)
・申込み締め切り:
上記格安チケットのパッケージ購入を希望する方は、できるだけ早くRCJ事務局までご連絡ください。申し込みが遅くなると、チケットの値段が高くなる可能性があります。
ご自分でチケット購入と宿の手配をして、現地集合・解散の参加も可能です。その場合は、4月10日までに、事務局までご連絡ください。




●第79回ワイズユースワークショップ報告●

「ラムサールCOP10報告会とラムサールセンター活動の今後」


 2008年12月20日(土)、JICA地球ひろばで、第79回ワイズユースワークショップを開催しました。ゲストスピーカーは成島悦雄さん(多摩動物公園飼育展示課長)。多摩動物公園で取り組んでいるトキの人工繁殖と分散飼育について講演していただきました。
次にRCJ会長の安藤元一さん(東京農大助教授)から「アジア湿地シンポジウム2008(ハノイ)」についての報告、副会長の岩間徹さん(西南学院大学教授)から「ラムサールCOP10」の主要な決議に関する解説をしてもらいました。
 つづいてRCJの2006年からの中心的活動だった「ラムサール条約を子どもたちのものにする−KODOMOラムサール」(地球環境基金助成事業)について、事務局長の中村玲子さんから報告があり、最後に、3年間のKODOMOラムサール活動をKODOMOリーダーとして積極的にになってきた田辺篤志(東京学館浦安高校)、佐藤奈津子(釧路湖陵高校)、高良海舟(興南高校)、山本賢樹(高穂中学)のみなさんから、「KODOMOラムサールに参加して」の活動報告と今後の活動継続についての意見発表が、参加した子どもを代表しておこなわれました。KODOMOラムサールをこれからも継続し、もっと多くの子どもたちを活動に巻き込み、湿地保全を全国で進めていきたいという子どもたちからの強いメッセージが明らかにされました。
 RCJの活動はこれまで主に、行政やマスコミ、研究者、NGOなど「おとな」を対象にしてきましたが、2003年からの「日本・中国・韓国子ども湿地交流」や、この「KODOMOラムサール」活動では、子どもたちへのCEPA、環境教育に力を入れてきました。その成果として、活動への子どもたちの自主的参加が実現し、まもなく創立20年になろうとするRCJに、新しい発想、意見、視点、エネルギーが流れこんでいるのを実感したワークショップでした。
 終了後は、恒例の忘年会をおこないました。会員の参加は安藤元一、岩間徹、武者孝幸、林聡彦、中村玲子、阪上絹絵、中村大輔、中村秀次、米澤文、岡本嶺子、小澤章子、市川智子、宮本貢のみなさんでした。



●<日本・中国・韓国・タイ・マレーシア>子ども湿地交流●
「マングローブ湿地へ行こう」報告

 2003年に始まった日本・中国・韓国子ども湿地交流は、今年度からウェットランドインターナショナル中国(WI-C)が主催する「東アジア・オーストラリアフライウェイに参加する国々での『湿地の学校』ネットワーク」(地球環境基金助成事業)として、新たなスタートを切りました。
 子ども湿地交流としては8回目にあたる今回は、タイ、マレーシアが加わり5か国湿地交流に拡大し、2008年12月23日(火)〜27日(土)、中国広東省湛江(チャンチアン)市と湛江マングローブ国立自然保護区(ラムサール条約登録湿地)を舞台に開催され、いつもの共催パートナー、WI-C、ウェットランド韓国、RCJに加え、湛江マングローブ国立自然保護区、広東省環境局、湛江市など地元の多くの機関・団体が共催し、湛江市中心部のイベント広場に200人以上の参加者を迎えての大規模な国際湿地交流となりました。
 中国国内各地の湿地からの参加者のほか、日本からは7人(子ども参加者は尾瀬の今井元海、琵琶湖の荒居日和、星野賢史、宍道湖の吾郷諒華さんの4人、日本国際湿地保全連合(WI-J)の神辺晴美、ラムサールセンターからは中村玲子、市川智子さん)、韓国からはRCJ会員のGJジュー、WSリーさんはじめ9人、タイから6人、マレーシアから3人が参加しました。身近な湿地や活動について発表し、湛江マングローブ保護区を訪問してマングローブを植樹しました。  
 これを機に、湛江市内の5校が「湿地の学校」に認定されました。また、専門家や保全に関わる参加者が集まっての「マングローブ湿地保全ワークショップ」もおこなわれました。
 この5か国子ども湿地交流は、2009年度は12月下旬に、タイ国南部のクラビ湿地(ラムサール条約登録湿地)を舞台におこなわれる予定です。



●「世界湿地の日」&「アジア湿地ウィーク」のイベント(インド)に参加協力しました●

 2009年1月30日(金)〜2月5日(木)、北海道サロマ湖地域のみなさんはじめ、辻井達一さん(WI-J理事長)、名執芳博さん(国連大学高等研究所上席研究員)、武者孝幸さん(RCJ副会長)、市川智子さん(RCJスタッフ)など10人の日本人が、インド・チリカ湖(ラムサール条約登録湿地)で活動する地元のNGOパリシュリの「世界湿地の日(WWD)」および「アジア湿地ウィーク(AWW)」記念イベントに招請されて参加しました。ナンダンカナン動物園での催しでは、オリッサ州各地の湿地から200人の子どもたちが集まり、湿地の研究発表や絵画コンテスト、ボートラリーがおこなわれ、湿地保全への思いを共有しました。デリーからインド政府代表も参加した大掛かりなものでした。
 辻井達一さんやサロマ湖の人たちは、その後、オリッサ州のもうひとつのラムサール条約登録湿地「ビタカニカマングローブ湿地」の視察へ。
 武者さんと市川さんは、チリカ湖畔でのWWD/AWWイベントにも参加した後、バングラデシュに移動して、バングラデシュ・ポーシュ主催の「気候変動に対するコミュニティ主体の適応方法に関するワークショップ」(ダッカ)に参加し、日本の自然災害やそれに対する取り組みを紹介しました。政府、IUCN,UNDPが共催する国際会議で、国土のほとんどが低湿地帯の同国にとって、地球温暖化による海面上昇や、サイクロンや高波の多発がもたらす脅威への危機感を反映する重要な、先駆的な議論が展開されていました。その後、ポーシュの地球環境基金助成プロジェクト地である南部のモ ヘシュカリ島を訪れ、住民とのワークショップに参加し、12日に帰国しました。



●「KODOMOラムサール」から「KODOMOバイオダイバシティ」へ●
 2006年度から3年間にわたって全国7ヵ所のラムサール登録湿地を舞台に合計9回開催された「KODOMOラムサール」活動(地球環境基金助成事業)は、日本とアジアの湿地で活動する子どもたち延べ550人の参加を得て、ラムサールCOP10(韓国)にKODOMOメッセージを無事に届けることができました。
 KODOMOラムサールは、この3月末をもって、3年計画活動の目標を達成したので、終了します。参加してくれた子どもたち、ご協力いただいた多くの関係者のみなさん、ありがとうございました。KODOMOラムサールに参加してくれた子どもたちには、この経験をそれぞれの湿地での活動に役立て、将来を担う湿地のリーダーとして活躍してくれることを期待しています。
 また、この活動ではKODOMOリーダーが参加者のみんなを引っぱり、活躍してくれました。KODOMOラムサール活動の終了に伴い、KODOMOリーダーのグループもひとまず解散します。KODOMOリーダーのみなさん、ご協力ありがとうございました。
 RCJでは、KODOMOラムサール活動の成果と実績を発展・継承し、より多くの子どもたちと湿地保全活動をすすめるために、2009年度から2年計画で、「KODOMOバイオダイバシティ(生物多様性条約と生きものを守る子どもたちの運動)」を計画しています。この活動は、2010年10月に名古屋で開催される第10回生物多様性条約締約国会議に向け、子どもたちといっしょに生物多様性条約と湿地のバイオダイバシティの重要性を考え、保全のための活動をしていこうとするものです。現在、地球環境基金に助成を申請しているほか、いくつかの地方自治体と具体的な話し合いをスタートさせ、パートナーとして協力してくれる企業、団体などへのよびかけを進めています。
 計画が煮詰まり、活動資金のめどが立ちしだい「発表」する予定ですので、これからもRCJのKODOMO活動へのご協力・ご支援をよろしくお願いいたします。



●ノートパソコンを譲ってください●

 RCJでは、最近の活動の広がりとボランティアスタッフの増加にともない、事務局で使用するパソコンの台数が不足しています。不要なパソコンをお持ちの方がいたら、譲っていただけないでしょうか。事務局スペースの関係で、デスクトップではなくノートパソコンをお願いします。メーカー不問ですが、OSはWindows XP以下を希望します。RCJ事務局までご連絡ください。

●2009年度のアジアでの活動予定とボランティアのよびかけ●
 今年もラムサールセンター(RCJ)では、アジア地域での活動をいくつか計画しています。RCJ主体事業だけでなく、アジアの仲間からのシンポジウムやワークショップへの招聘、KODOMO湿地交流などのイベントへの参加、協力要請など数多く届きます。事務局では、できるかぎり要請に応えたいと思っていますが、マンパワーや資金に限りがあるところから、会員のみなさんのボランティア協力を歓迎します。
 助成金申請中の活動もあり、不確定なものもありますが、現段階での活動予定をお知らせします。
 関心のある方は、早めに、事務局までご連絡ください。なお、現地までの国際航空運賃は自己負担が原則です。事業によっては、一部支援金を用意できる場合もあります。


◆子ども湿地交流イン安山(韓国)への子ども派遣
RCJ、ウェットランド韓国、WI中国が協力しての日・中・韓子ども湿地交流活動の9回めの活動です。安山でおこなうのは2007年以来2回めです。2009年8月1〜8日ごろ、4泊5日で予定。ソウル近郊の安山市の始華湖と地先に広がる広大な干潟を訪ね、大南小学校の子どもたちなどと交流します。子ども参加者の定員は5人程度。大人の参加も歓迎です。
◆AWS2008勧告「ハノイコール」の実施状況の調査研究活動
 昨年6月ベトナム・ハノイで開催した「アジア湿地シンポジウム2008(AWS2008)」で採択された「ハノイコール」は、アジアの湿地保全のために10項目の緊急行動を提起しています。その10項目の実施状況をフォロー、評価し、次回のアジア湿地シンポジウム開催までに報告書としてまとめるための活動です。日本経団連自然保護基金に助成金申請中です。資金のめどがつけば、今年度2回程度、アジア地域での湿地ワークショップ開催を計画しています。
◆5か国子ども湿地交流「湿地の学校」への代表派遣
       (2009年12月19〜23日・予定)
 日本、中国、韓国、タイ、マレーシアの子どもたちによる湿地交流です。2004年のアジア大津波の被害を受け、市民一丸となってマングローブ湿地の再生に取りくんだタイ・クラビ湿地の経験を学び、現地の学校と交流します。日・中・韓子ども湿地交流活動の10回めになります。


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