ラムサール通信
2008年12月8日発行 第120号


ラムサール条約COP10、32本の決議を採択し、無事終了●



韓国の昌原市で10月28日〜11月4日に開催された第10回ラムサール条約締約国会議(COP10)は、参加者1500人を迎え、32項目にわたる決議を採択し、成功裏に幕を閉じました。1993年のCOP5(釧路市)以来15年ぶりのアジア地域での開催とあって、韓国政府、慶昌南道、昌原市の意気込みはたいへんなもので、開会式では李明博大統領、ジュリア・マートン・レフェブレIUCN事務局長、アヒム・シュタイナーUNEP事務局長のあいさつにつづいて潘基文国連事務総長のビデオメッセージ、さらにこれまでの10カ国のCOP開催国からの子ども代表が招かれて湿地保全への思いをこめた子どもメッセージを読みあげるなど、かつてないにぎやかな演出で展開されました。
会場の国際会議場CECOの前庭には野外ステージや展示用テントが並び、近郊のラムサール条約湿地ではCOP10記念の湿地フェスティバルが企画され、一般市民や家族連れが楽しんで参加できるイベントも目白押し。テレビ特別番組が毎日放送されるなど、普及啓発も盛んにおこなわれました。
ラムサールセンター(RCJ)は、昌原市主催の「世界子どもラムサールCOP」に日本から18人のKODOMOラムサール代表の子どもを送り、また、会場のCECO内に展示ブースを設置してAWS2008や、KODOMOラムサールの成果を参加者と共有しました。
タイのマヒドン大学のサンサニ・チョーウさんが、2001年のアジット・パトナイクさん、2005年の中村玲子さんにつづいてラムサール湿地保全賞(教育部門)を受賞するという、うれしいできごともありました。これで3年連続のRCJ会員の受賞です。
COP10へのRCJ会員の参加は、安藤元一会長、岩間徹・林聡彦・武者孝幸副会長、中村玲子事務局長、岡本嶺子、小澤章子、市川智子、島谷幸宏、川嶋宗継、小林聡史、村上悟、佐々木優、中村秀次、 神辺晴美、辻井達一、名執芳博、山田真理、塩谷期均、アマド・トレンティーノ、サンサニ・チョーウ、マショー・マンソー、ビシュヌ・バンダリ、チェン・ケリン、レイ・ガンチャン、レベッカ・ドクルツ、リー・ウーシン、ジュー・ギジェ、テージ・ムンカー、カマル・ライ、マソード・カリミのみなさんでした。
なお、COP10の報告会を下記のとおり、第79回ワイズユース・ワークショップとして開催します。 
本会議を傍聴した岩間副会長に、決議の解説をしていただく予定です。

 ワークショップ「ラムサールCOP10報告会とラムサールセンター活動の今後」

日時:2008年12月20日 (土) 午後1時30分〜5時30分
場所:JICA地球ひろば(広尾) セミナールーム202
         渋谷区広尾4-2-24 Tel:03-3400-7717
 (地下鉄日比谷線「広尾」A4出口から徒歩2分) 





第79回ワイズユース・ワークショップ●

 「ラムサールCOP10報告会とラムサールセンター活動の今後」

 ラムサールセンター(RCJ)の2008年は、3年越しの事業としての「アジア湿地シンポジウム2008」(6月・ハノイ/KNCF支援事業)の開催、「KODOMOラムサール」(地球環境基金助成事業)の継続を軸に、それぞれの成果である「ハノイコール」と「KODOMOメッセージ」をラムサールCOP10(10月・昌原)に届けることを目標に活動をしてきました。さらに、新しい事業としては、「バンロックステーションワイン」と「やまや」の支援による「トキと湿地」プロジェクトがスタートしました。
 3年に1度のラムサールCOPが無事終了したことを受けて、1年の活動をふりかえり、その成果と課題を多くの人々と共有し、評価するためのワークショップを開催します。

◆日時:2008年12月20日 (土) 午後1時30分〜5時30分(午後1時から受付開始)
◆場所:JICA地球ひろば(広尾) セミナールーム202
    渋谷区広尾4-2-24 Tel:03-3400-7717 地下鉄日比谷線「広尾」A4出口から徒歩2分
◆プログラム(予定)
午後1時30分     開会
1時40分〜 「トキと湿地」招待講演
 ゲストスピーカー:成島悦雄さん(多摩動物公園)
「トキの人工繁殖と野生復帰の意義:多摩動物公園の試み」(仮)
  2時30分〜 ラムサールセンター活動報告
「アジア湿地シンポジウム2008:ハノイコールの意義と役割」
             報告者:安藤元一(東京農業大学助教授・RCJ会長)
「ラムサールCOP10(韓国・昌原)報告」
             報告者:岩間徹(西南学院大学教授・RCJ副会長)
「ラムサール条約への子どもたちの参加−KODOMOラムサールの成果」
             報告者:中村玲子(RCJ事務局長)
「KODOMOラムサールに参加して」
             報告者:田辺篤志(東京学館浦安高等学校2年)、
                 佐藤奈津子(釧路湖陵高等学校1年)、
                 高良海舟(興南高等学校1年)、
                 山本賢樹(高穂中学校2年)
4時45分〜 ディスカッション
5時30分  終了 




●ワークショップにひきつづき、ラムサールセンターの忘年会を行います●
今年1年を振り返り、来年の活動を展望しましょう。忘年会だけの参加も歓迎です。

◆日時:12月20日(土) 午後6時〜午後8時 (ワークショップ終了後)
◆場所:BANGKOK KITCHEN(バンコクキッチン)
      渋谷区広尾5-2-25 HongokuBidg.,B1F   Tel:03-3400-5533
      地下鉄日比谷線「広尾」2番出口から徒歩7分
      http://bangkok-kitchen.com/hiroo/index.html
◆会費:4,000円程度(学割あります。)



●「世界子どもラムサールCOP」(韓国・昌原)報告●

 10月26日〜30日まで、韓国・昌原市で、ラムサール条約COP10の協賛イベントとして、「世界子どもラムサールCOP」が開催されました。これまでのラムサールCOPが開催された8か国(イタリア、オランダ、カナダ、スイス、オーストラリア、コスタリカ、スペイン、ウガンダ)の子どもたちと、第5回と第10回の開催国の日本と韓国の子どもたち計60人が集まって湿地交流をおこない、10月28日のCOP10開会式で発表する子どもメッセージをつくるというもの。昌原市とRCJが共催しました。
 RCJが2006年から、地球環境基金ほかの支援を受けて開催してきた9回の「KODOMOラムサール」に参加した子どもたち延べ550人から選ばれた18人が代表参加して、活動の成果を世界の子どもたちと共有しました。
 日本の子どもたちは、ウーポ湿地とチュナム湿地の見学、韓国の伝統芸能の体験や、自然素材を使った染物やクラフト体験、COP10を記念して新設された「ラムサール文化センター」や小学校の訪問、ラムサール条約締約国会議の展示ブース見学などを通じて、世界の子どもたちと、言語や国の壁を超えて活発に交流をしました。
 10月28日のCOP10開会式には、COP1〜10開催国の代表1人ずつが公式に招待され、政府代表を前に、湿地保全への思いをこめた子どもメッセージを発表しました。日本からは釧路湿原で活動する北海道鶴居村の佐藤奈津子さん(高校1年)が日本代表としてステージにあがり、参加した各国政府代表、NGOなどに向けて英語で、「Life is Treasure. Wetland is Treasure. To Protect Our Treasure is Our Dream」を堂々と発表しました。韓国大統領はじめ、1000人以上が出席した会場からは、拍手が鳴りやみませんでした。
 ラムサールCOP10には、この「世界子どもラムサールCOP」に参加した子どもだけでなく、滋賀県(琵琶湖)、山口県(秋吉台)、鳥取県(中海)、豊岡市などからもたくさんの子どもたちが見学に訪れました。1日参加登録をして、国際会議場CECOに入場、RCJのブースで、壁いっぱいに貼りだされたKODOMOメッセージキルトの前で記念写真をとったり、KODOMOメッセージTシャツを購入したり、楽しんでくれました。



●平成20年度地球環境基金「国際協力講座」(奥日光)報告●

 11月22日(土)〜23日(日)、栃木県奥日光・戦場ヶ原で、平成20年度地球環境基金「国際協力講座」(主催:環境再生保全機構地球環境基金部 後援:日光市)が、ラムサールセンター(RCJ)の協力で開催されました。菊地邦雄さん(法政大学教授)、名執芳博さん(国連大学高等研究所上席研究員)、小林聡史さん(釧路公立大学教授)、土居正典さん(インテムコンサルティング専務)、チェン・ケリンさん(ウェットランドインターナショナル中国代表)など、国際協力の第一線の講師陣を迎え、北海道から沖縄まで日本各地からの32人の受講者とともに、「地球環境」「開発途上国」「NGO」「国際協力」について考え、自分たちにできること、したいことについて話し合いました。奥日光の自然ガイドの宮地信良さんの解説を受けながら、ラムサール条約登録湿地の戦場ヶ原湿原を歩いた早朝のフィールドスタディも好評で、充実した2日間だったとの声を、多くの受講者からいただきました。
 RCJにとって、こうした国内での研修プログラムの企画・実行に協力したのは初めてでしたが、
これからも機会があれば、協力していきたいと思います。



●ラムサールセンターの年末年始のスケジュール●

12月20日     第79回ワイズユースワークショップ・忘年会
12月21日     事務局会議「来年度以降の活動について」
12月23〜27日  日中韓マレーシアタイ「湿地の学校」(中国広東省湛江湿地)に協力
12月28日     2008年の仕事納め
1月5日      2009年の仕事始め


今年1年、たいへんお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いします。


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