ラムサール通信
2008年9月20日発行 第118号


●「KODOMOラムサール国際湿地交流inにいがた」無事終了●
130人の子どもたち、KODOMOメッセージを完成


 8月20(水)〜24(日)日、新潟市の朱鷺メッセと菱風荘(福島潟)で、「KODOMOラムサール国際湿地交流inにいがた」(地球環境基金助成事業)が、ラムサールセンター(RCJ)、新潟市と地元のNGOなど20団体で構成する実行委員会(会長・大熊孝)の主催で開催されました。
 釧路湿原、クッチャロ湖、宮島沼、尾瀬、谷津干潟、藤前干潟、琵琶湖、中海、宍道湖、漫湖、地元の佐潟、福島潟、栗の木川、瓢湖、通船川の国内15湿地に加え、韓国のウーポ湿地とシワ湖、中国の黄河と大山包(雲南省)、ロシアのボロン湖、インドのチリカ湖とケウラデオ国立公園、タイのクラビ干潟などアジアの8湿地からの子どもたち60人、さらに新潟に学びにきている海外からの留学高校生9人も参加して、総勢69人のにぎやかで大規模な「国際」会議となりました。
 1日目は、日航ホテル展望室で歓迎パーティ。越後平野を眺めながら、大熊孝先生から「越後平野のでき方」を聞き、新潟と水の関係について学びました。子どもたちは大よろこびでした。
 2日目は、鳥屋野潟、佐潟、瓢湖、福島潟と、新潟の代表的な湿地をめぐるエクスカーション。佐潟では前夜の大雨で増水した潟に入り、腰までつかってハス刈りを体験しました。
 2日目の夜から3日目は、8グループに分かれてKODOMO会議。言葉の壁もなんのその、通訳ボランティアの活躍に支えられて各湿原の紹介、活動報告、メッセージづくりに取り組み、活発に意見を出し合い、時間が足りないくらいでした。 4日目は会場を朱鷺メッセの国際会議場に移し、200人の観客を前に、各国各湿地の活動報告をおこないました。発表には地元の赤塚小・中学校、沼垂小、水原小、牡丹山小、葛塚小の子どもたち70人も参加し、英語で発表するグループもいたりと、いずれもレベルの高い、国際的な発表でした。
 午後からは、同時通訳の助けを借りながら、KODOMOメッセージづくりの最終会議。前々日から練り上げられてきた候補にしぼり、中村大輔先生をファシリテーターに白熱した意見交換を2時間にわたって続け、午後3時、KODOMOメッセージを決定しました。子どもたちから、同席した篠田新潟市長に手渡されました。そして、COP9の政府代表として「KODOMOラムサール」開催の道筋をつけてくれた名執芳博さん(国連大学)から講評をいただき、大成功のうちに幕を閉じました。


「湿地がある 命がある ぼくらがつなげて宝になる」


 子どもたちのつくったこの新潟のメッセージは、これまで全国で行われてきた8つのメッセージとともに、10月の韓国・チャンウォン市で開催されるラムサールCOP10へと持っていく予定です。
 2005年、COP9に参加した4湿地4人の「子どもリーダー」によってスタートした「KODOMOラムサール」は、全国で9回開催され、日本の登録湿地33のうちの29湿地が参加する大きな運動に成長しました。これまで参加してくれた子どもたちと、開催にご協力いただいた関係者のみなさん、どうもありがとうございました。
 「KODOMOラムサール」の主スポンサーである地球環境基金の支援は今年度でひとまず終了しますが、子どもたちからは、「KODOMOラムサールを続けてほしい」と存続を願う声がたくさん上がっています。インドからも「We want to continue, please!!」と、手紙が届いています。なんとか継続の道を探りたいと思っています。会員のみなさんの知恵も貸してください。
最後に、今回の新潟開催にあたっては、資金的援助を含む大きな支援をしてくださった新潟市はじめ地元のNGO、NPOのみなさん、助成団体、協賛企業の方々、子どもたちのメッセージづくりを力強く応援してくれたファシリテーターの中村大輔先生、川嶋宗継先生、村上悟さん、また通訳ボランティアをしてくれたオチャンギルさん、積水化学工業のジェームズ・マックギールさん、山田真理さん、浅野真理さん、FAネットワークの塩谷期均さん、ボランティアの岩崎慎平さん、中村秀次さん、佐々木優さん、そして、さまざまな応援をしてくれたRCJ会員のみなさんに、心からお礼を申し上げます。

「KODOMOラムサール国際湿地交流inにいがた」に参加してくれた子どもたちは以下のとおりです。
釧路湿原/川村礼実:鶴居中学校 佐藤奈津子:釧路湖陵高等学校 クッチャロ湖/片野藍、庄司美有:浜頓別小学校 宮島沼/伊藤俊哉、坂本妃奈子、鈴木美歩奈、長谷川美咲:美唄中学校 佐潟/伊藤智也、新澤岳朗:新潟市立赤塚小学校、片山壮志、斎藤優、石附愛、片山隆志、佐藤広野、田村蒼:新潟市立赤塚中学校 福島潟/井本かのん、佐藤かんな、矢澤拓真:新潟市立葛塚小学校 栗ノ木川/青木かな、吉田ほのか:新潟市立沼垂小学校 瓢湖/庭山ひかる、町田美咲:阿賀野市立水原小学校 尾瀬/松浦あすみ:尾瀬高等学校 谷津干潟/新井梨奈:習志野市立第三中学校、田辺篤志:東京学館浦安高等学校 藤前干潟/佐藤湧馬:愛知工業大学附属中学校 琵琶湖/山本賢樹:草津市立高穂中学校、荒居日和:笠縫東小学校、門田響:高島小学校、穴原由貴:立命館守山中学校、井原大文:松原中学校 星野賢史:瀬田北中学校 中海/足立研:米子市立彦名小学校 井澤可奈子:米子市立箕蚊屋小学校、西田忠信:境港市立中浜小学校 宍道湖/吾郷諒華、大谷慧:島根大学教育学部附属中学校 漫湖/太田光奈子:那覇市立天紀小学校、上原匡貴、高良俊輝:那覇市立鏡原中学校、小禄健人:沖縄尚学高等学校附属中学校、高井美波:沖縄尚学高等学校附属中学校、高良海舟:興南高等学校 黄河(中国)/Sun Shuonan、Li Penen、Sun Haocheng、大山包(中国)/Deng Weicheng  Upo Wetland(韓国)/MinGyu Ji  Siwa Lake(韓国)/SeungKyung Lee、SongYoun Hong Bolon Lake(ロシア)/Konstantin Postupaev:Far East State Humanitarian University、Nikita Babichuk:School#5 of Amursk City Krabi Estuary(タイ)/Witchawin Charoenapinyo、Nirut Bannob:Ammartpanichnukul School Chilika Lagoon(インド)/Sriya Patnaik:BJEM English Medium School Keoladeo国立公園(インド)/Sreetika Ray Mohapatra:Mother's International School AFS留学生:スイス/Tokuda, Nino Masaki:新潟高等学校 Venetz, Juliani:松代高等学校 オーストラリア/Fitzgerld, Joshua:新潟商業高等学校 タイ/Watanabe, Sirada:新潟清心女子高等学校 Prasansaksakul, Pinpka:関根学園高等学校 アメリカ/Richardson, Kristina:新津高等学校 Tangstritrakul, Sirin:小千谷高等学校 中国 中国/Xu, Ruohui:新掘田商業高等学校 インドネシア/Fahlevi, Indra:長岡大手高等学校 そのほか、新潟市立東山の下小学校、新潟市立牡丹山小学校、水原小学校、沼垂小学校、牡丹山小学校の約70人のみなさん 



●第78回<ワイズユース>ワークショップ報告●

 2008年8月8日、18時30分から、明治学院大学(法律科学研究所)で、6月にベトナム・ハノイで開催された「アジア湿地シンポジウム(AWS)2008」の報告会をおこないました。
 第4回開催となったAWS2008を振り返り、評価、反省点、今後への展望などについて検討しました。とくに、湿地保全への具体的な行動を提起する「ハノイコール」の読み込みと、COP10へどうつな 11月22日〜23日、奥日光・戦場ヶ原で、ラムサールセンター(RCJ)は、地球環境基金の受託事業「国際協力講座:私たちもこんな活動がしたい、これならできる/アジアの湿地と生物多様性のために」を開催します。  
RCJスタッフの海外活動体験をケーススタディに、環境分野の国際協力について学び、参加のチャンス&キッカケづくりを応援する企画です。
講師陣に菊地邦雄(法政大)、名執芳博(国連大)、小林聡史(釧路公立大)、宮地信良(ネイチャーガイド)、中国からチェン・ケリン(WI中国代表)など第一線の各氏を招いての、1泊2日のプログラムです。晩秋のラムサール登録湿地「奥日光の湿原」でCEPA、交流を深めてください。詳しくは同封の広報資料をごらんください。お申し込みは、ラムサールセンター事務局まで。
※先生方は、大学生のみなさんに情報を伝えてください。
げるかについて、具体的な論議をすることができました。参加した会員は安藤元一、磯崎博司、武者孝幸、中村玲子、小澤章子、市川智子、岡本嶺子、小松潔さんの8人でした。



●ラムサール条約COP10へ、絵を送ろう●
ラムサール条約事務局が、子どもの絵画を募集しています


 ラムサール条約事務局が韓国政府と協力して、COP10協賛の子どもの絵画展を計画しています。COP10の主題である「健康な湿地、健康な人々(Healthy Wetlands, Healthy People)」をテーマにした子ども(5〜18歳)の絵画を2枚選んで、COP10にもってきてほしいと、締約国を通じて呼びかけています。これをうけて、ラムサール条約CEPAのNGO窓口になっている日本国際湿地保全連合(WI-J)が、環境省と協力して、日本の子どもたちの絵画を募集しています。
 優秀作品2点は、COP10の会場に、各国の優秀作品といっしょに掲示される予定です。
詳細は、同封のチラシをご覧ください。締め切りは9月26日です。




●「日本湿地学会」設立総会の報告●

 2008年9月6日(土)午後、JICA地球ひろば(東京・広尾)で、「日本湿地学会」の設立総会が開催されました。当初の予想をうわまわる76人の出席があり、立ち見もでるほどの熱気あふれる新学会の誕生でした。発起人の小林聡史さん(釧路公立大学教授)の司会で、これまでの経過説明、設立の確認、暫定理事の承認、会則と学会誌が検討されたのち、「“さなぶり”から“エデン計画”まで−湿地学会の目指すところ− 」と題する辻井達一(日本国際湿地保全連合会長)の講演にはじまる第2部の記念ミニシンポジウムは、韓国からかけつけた李宇新ソウル大学教授の「韓国における湿地とラムサールCOP10の準備」、「アジア湿地シンポジウム2008報告」(安藤元一 東京農大准教授・RCJ会長)、「東南アジア湿地生態系の土地利用と環境保全」(岩熊敏夫 北大教授)など、視野は広く世界におくという新学会の立ち位置が明らかな、凝縮された内容でした。1990年に「湿地と人間研究会」としてスタートしたラムサールセンターにとって、18年間待ち望んでいた、うれしいニュースでした。

 当日承認された暫定理事、和文誌編集委員は以下です。ごらんいただけばわかるように、多くのラムサールセンター会員が今後も学会の運営と発展に貢献していくことになります。
 理事(暫定期間):辻井達一(「日本湿地学会」会長:湿原生態学)/中村玲子(ラムサールセンター事務局長)/國井秀伸(島根大学汽水域研究センター教授)/島谷幸宏(九州大学教授:河川工学)/菊地邦雄(法政大学人間環境学部教授:環境政策、自然環境計画)/正富宏之(専大北海道短大名誉教授、鳥類学)/安藤元一(東京農大准教授:哺乳類学)/名執芳博(国連大学高等研究所上席研究員)/下田路子(富士常葉大学環境防災学部教授:植物生態学)/牛山克巳(宮島沼水鳥・湿地センター)磯崎博司(明治学院大学教授:環境法)/佐々木美貴(日本国際湿地保全連合事務局長)
 和文誌担当委員:高田雅之(北海道環境科学研究センター:環境GIS)/井上京(北大准教授:農業農村工学)/呉地正行(日本雁を保護する会会長)/植村滋(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター:植物生態学)/小林聡史(釧路公立大学教授:環境地理学)




●2008年度RCJ会費の納入をお願いします●


9月現在、今年度の会費が未納になっている会員には、別紙請求書を同封しました。
ご確認のうえ、ご協力をよろしくお願いします。

●海外環境NGO活動をめざす人のために●
 「国際協力講座」受講者募集
 11月22日〜23日、奥日光・戦ヶ原で、ラムサールセンター(RCJ)は、地球環境基金の受託事業「国際協力講座:私たちもこんな活動がしたい、これならできる/アジアの湿地と生物多様性のために」を開催します。  
RCJスタッフの海外活動体験をケーススタディに、環境分野の国際協力について学び、参加のチャンス&キッカケづくりを応援する企画です。
 講師陣に菊地邦雄(法政大)、名執芳博(国連大)、小林聡史(釧路公立大)、宮地信良(ネイチャーガイド)、中国からチェン・ケリン(WI中国代表)など第一 線の各氏を招いての、1泊2日のプログラムです。晩秋のラムサール登録湿地「奥日光の湿原」でCEPA、交流を深めてください。詳しくは同封の広報資料をごらんください。お申し込みは、ラムサールセンター事務局まで。
※先生方は、大学生のみなさんに情報を伝えてください。


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