ラムサール通信
2008年3月6日発行 第114号


●アジア湿地シンポジウム2008の発表要旨、募集中です●

 2008年6月22日〜25日、ベトナムのハノイで開催される「アジア湿地シンポジウム2008(AWS2008)」における発表の要旨募集の締め切りが3月14日(金)まで延期されました。これまでにすでに90を超える応募がありましたが、日本人のエントリーは少数にとどまっています。AWSは1992年、日本の大津市・釧路市ではじめて開催され、アジアの湿地保全と賢明な利用を議論する初の国際湿地会議として注目を浴び、2005年のCOP9の決議で、条約実施のための効果的な「リージョナル活動」として公式的に位置づけられました。今回のハノイ会議が第4回にあたります。
 テクニカルセッションのテーマは、健康な湿地の創造と効果的な管理/湿地管理における国境を超えた協力/湿地と持続可能な農業/開発と湿地保全の統合/持続可能な生計手段と湿地/湿地のための教育/文化的遺産と湿地管理/気候変動と湿地:インパクト・適応・回避、など多岐にわたります。
 湿地の保全と賢明な利用に関する日本の豊かな経験と智恵を共有する場として、多くの方のエントリーを期待します。詳細は、以下をごらんください。
http://www.aws2008.net



●ラムサールセンターの財政危機を乗り越えるために●
活動資金協力をお願いします

 緊急告知。ラムサールセンターの財政がピンチです。 
多くの方のご協力をお願いします。

 RCJが今年度から「バンロックステーションワイン」(豪)と「やまや」の支援を受けて「トキと湿地」プロジェクトをスタートさせたことは、前号でもお知らせしました。しかし、その支援金(370万円)の交付が、両社の都合で予定より大幅に遅れることになりました。
 RCJは独立した事務所と有給の専従職員をもたず、会員の会費と、地球環境基金や日本経団連自然保護基金などプロジェクトごとに交付される助成金で活動を続けている、上部組織に属さない、任意のボランティア団体です。まとまった基本財産はもっていません。
 単年度会計による助成金システムの谷間にあたる年度末から、次年度の助成金交付がはじまりだす5〜6月ごろまでは、例年、活動資金が途切れ、つなぎの運転資金に苦労してきました。さらに近年、RCJ活動の規模、深度、社会的責任が増大し、プロジェクト助成金だけではカバーされない基礎的な事務管理作業と関連費用が増え、財政を圧迫してきました。このままでは、この3月決算期を健全に乗り切ることも難しくなってしまいました。
 そこで、会員および、広くみなさんに緊急のお願いです。RCJの活動をこれからも継続するために、以下のご協力をお願いします。
1.2008年度の会費(8000円)の納入をお願いします。
 例年、年度が替わってからお願いしていましたが、いつもより早めの納入をお願いします。すでに納入済みの方もいますので、自分が納めたかどうか不明の場合は、事務局へお問い合わせください。
2.会員拠出金(1口10万円)積み増しへの協力をお願いします。
 会員拠出金制度は、RCJの基礎的活動の維持・存続ために、2002年度からはじまった活動資金協力制度で、1年ごとに返済または更新する期間限定です。1口10万円、自動継続ありで、随時受け付けています。現在、12人の会員から合計271万円の協力をいただいていますが、さらに多くの協力をよびかけます。
3.「外来生物・遺伝子組換え生物ハンドブック」など、ツール、グッズを買ってください。
 RCJ、自然情報事務所(NIO)、中村玲子事務所のパートナーシップで誕生した「ラムサール条約ハンドブック」に次ぐハンドブックシリーズ2冊目です。外来生物と遺伝子組換え生物の「なぜ」にわかりやすくお答えします。1冊350円(A5判36ページ)ですが、300円でおわけします。ワークショップやゼミ、勉強会などで、ぜひご活用を。ご希望の方は事務局までお申し込みください。「ラムサール条約ハンドブック」(250円)のほうも、引き続きよろしくお願いします。
4.KODOMOラムサールの「バンダナ」を頒布中です。
 日本の33ラムサール条約湿地の名前が入ったバンダナです。KODOMOラムサールに参加する子どもたちへのプレゼント用につくったものですが、希望者には1000円で頒布しています。サイズは50センチ×50センチ。赤と青の2種類あります。
5.会員増加にご協力ください。
 RCJの会員は現在100人。その4分の1が、年会費20ドルのアジア会員です。深化・拡大するRCJ活動の基礎を支えるために、より多くのサポーターがいてくださればたいへん心強いです。みなさんの周辺でRCJ活動に関心のありそうな方に、積極的に入会をよびかけてください。
6.一般寄付を募ります。
 RCJではこれまで、個人・企業を問わず、「一般寄付」のよびかけは積極的におこなってきませんでしたが、今回、緊急事態のため協力のお願いをします。理解ある組織、個人からの寄付、カンパを受け付けています。金額の多寡は問いません。ご協力をお願いします。

 ラムサールセンターの振込口座:
 銀行:三井住友銀行 下丸子(しもまるこ)支店(810)
     (普通)0684084  (名義)ラムサールセンター事務局長 中村玲子 
 郵便振替: 00130−7−547767  ラムサールセンター



●<ワイズユース>ワークショップ報告●
「ラムサール条約と生物多様性条約がもとめるCEPAについて考える そのC」


 2月29日(金)に、東京・白金の明治学院大学で、第75回<ワイズユース>ワークショップを開催しました。これは、ラムサールセンター(RCJ)が今年度から明治学院大学から委託を受けて取り組んでいる、法政策分野における効果的なCEPA(環境教育)活動の実施に向けた、基本枠組みを定めている関連諸条約の分析調査、具体的におこなわれている先行事例調査の一環で開催されたものです。第4回会合では、生物多様性JAPANの金田正人さん、琵琶湖ラムサール研究会の村上悟さんを講師として招き、両組織で取り組んでいるCEPA活動について報告していただきました。18人が参加し、ラムサール条約と生物多様性に関するCEPA活動の現状と今後の課題について、活発な議論が繰り広げられました。
 会員の参加者は、安藤、磯崎、名執、林、中村、武者、苑原、村上、小澤、石橋、築地さんでした。



●「KODOMOラムサール<中海・宍道湖>全国湿地交流」報告●

 「KODOMOラムサール<中海・宍道湖>全国湿地交流」が、2月9日(土)〜11日(月)、鳥取県・島根県のラムサール条約登録湿地「中海・宍道湖」で開催されました。これまでの6回のブロック湿地交流を集約する、33登録湿地に呼びかけておこなわれる初の全国規模での湿地交流となりました。
地元の中海、宍道湖のほか、釧路湿原、濤沸湖、サロベツ原野、宮島沼、伊豆沼・内沼、蕪栗沼・周辺水田、佐潟、尾瀬、谷津干潟、藤前干潟、琵琶湖、串本沿岸海域、秋吉台地下水系、藺牟田池、漫湖、名蔵アンパルの20のラムサール条約登録湿地の子どもたち、愛知県豊田市の矢並湿地、山口県岩国市の麻里布川、韓国のウーポ沼、シワ湖から、合計100人の子どもたちが参加しました。
3日間にわたる全国湿地交流は、島根県松江市のホテル宍道湖を会場に、1日目は、それぞれの湿地とそこでの活動(湿地、生き物、活動)について、写真やイラストを使って発表がおこなわれ、みんな、発表に真剣に耳を傾け、湿地の特色の違いや固有の生きものについて学びました。全国で行われているさまざまな活動を聞いた子どもたちは、その取り組みに感動し、あらためて自分の活動する湿地を見直す機会となりました。
夕食は宍道湖の恵みを取り入れた郷土料理を囲み、交流パーティー。シジミの味噌汁やスズキの奉書焼きなど宍道湖七珍を堪能しました。
2日目は宍道湖コースと中海コースの2グループに分かれての野外学習。宍道湖コースは、一畑電鉄で宍道湖を湖岸から観察し、宍道湖グリーンパーク、宍道湖自然館ゴビウスへ向かいました。中海コースは、バスで安来市宇賀荘地区のふゆみずたんぼを見学し、コハクチョウの観察。米子水鳥公園で中海干拓の話を聞き、水辺の生物の観察をしました。
午後は、2グループ合同で大橋川の船上からの見学。大橋川は宍道湖と中海をつなぐ大きな川で、途中、漁師さんたちのシジミ漁の実際を見ることができました。
野外学習後、ホテル宍道湖で、斐伊川くらぶの宍道湖のヨシの植栽の講演を聞き、その後マイバッグづくりをしました。
夕食後の「KODOMO会議」では、10人前後の班に分かれてメッセージづくりの話しあいがおこなわれました。それぞれが考えてきたメッセージを出しあい、活発な議論がかわされ、班ごとに1つずつ、8つのメッセージをつくりました。なかには話しあいが白熱し、時間内に完成させることができない班もありました。
そして、3日目の午前、いよいよ全国の子どもたちの思いが詰まったメッセージづくりです。前日に完成した各班のメッセージをもとに、子どもたち全員で活発な議論がおこなわれ、次のような全国湿地交流メッセージが採択されました。

「命の源 みんなの湿地(たから) 〜ぼくらがつなげる命の輪〜」

 このメッセージは、宍道湖の吾郷諒華さん、中海の樋口翔一くんより、同席された島根・鳥取両県知事に手渡されました。ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。

 2006年10月にスタートした「KODOMOラムサール」は、こうして計画どおり、予想以上の成果をあげて終了しました。全国33登録湿地中、29湿地から、合計400人の子ども代表が参加した日本初の大イベントは大成功をおさめましたが、ラムサールセンターは、この成果をさらに2008年8月に新潟市で開催予定の「KODOMOラムサール国際湿地交流inにいがた」、さらに10月の韓国チャンウォンでのラムサールCOP10へとつなぎ、国際条約において子どもたちの果たすべき重大な役割を実践していきます。




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