ラムサール通信
2007年9月14日発行 第111号



●第71回<ワイズユース>ワークショップのおしらせ●

「ラムサール条約と生物多様性条約がもとめるCEPAについて考える」

 ラムサールセンターは、今年度から明治学院大学からの委託を受け、法政策分野における効果的なCEPA(環境教育)活動の実施に向けて、基本枠組みを定めている関連諸条約の分析調査、具体的に行われている先行事例調査に取り組んでいます。このワークショップでは座談会形式で、ラムサール条約と生物多様性条約がもとめているCEPAについて、決議や勧告などを中心に検討を行っていきます。研究者、NGO関係者の参加を歓迎します。

    ■テーマ:ラムサール条約と生物多様性条約がもとめるCEPAについて考える
    ■日 時:2007年9月26日(水)18時30分〜20時30分
    ■場 所:明治学院大学 白金キャンパス 本館8階 法律科学研究所
         (港区白金台1-2-37)地図:http://www.meijigakuin.ac.jp/access/
    ■参加費:2000円(会員・学生1000円) *終了後はいつもの交流会です。


●「KODOMOラムサール<琵琶湖>湿地交流」報告●

 9月8日(土)〜9日(日)、滋賀県近江八幡市・安土町で、KODOMOラムサール<琵琶湖>湿地交流(地球環境基金助成事業)が1泊2日で開催されました。琵琶湖周辺に住む滋賀県の子どもたちに加え、釧路湿原、濤沸湖(北海道)、谷津干潟(千葉)、藤前干潟(愛知)、中海(鳥取、島根)、名蔵アンパル(沖縄)の子どもたち、あわせて49人が参加しました。
 一日めは、3グループに分かれ、八幡堀、小学校のビオトープ、西の湖、北里集落センターなどを視察し、琵琶湖の自然、文化、歴史について学習しました。その後、琵琶湖内の「沖島」に船で渡り、沖島小学校に布団を運び込んで宿泊しました。
 二日めは、地元の人の案内で島内を見学。世界でも数少ない淡水湖沼の中で人が住んで生活している沖島は、周囲6.8km、面積1.53?。集落以外は山林に覆われ、漁業者380人が暮らしています。島には車もなく、豊かな自然がいっぱいです。午前中は、お寺や神社、資料館を訪れ、1時間かけて山登りを楽しみながら、沖島について学習しました。途中、嘉田由紀子滋賀県知事が交流会を視察。知事から琵琶湖の歴史とその価値についてお話がありました。
 午後は、「KODOMOメッセージ」づくりで、真剣な話し合いが行われました。それぞれメッセージに盛り込みたいキーワードを出し合い、次のようにまとめました。

母なる琵琶湖ありがとう 命を生みだす宝の水
〜とりもどそうよ どこでもすくって飲める水〜

今回のKODOMOラムサール開催にあたり、下記のみなさまにさまざまなご協力をいただきました。ありがとうございました。

  ハートランド推進財団、東近江水環境自治協議会、近江八幡市・同教育委員会、安土町・同教育委員会、琵琶湖ラムサール条約連絡協議会、国際湖沼環境委員会(ILEC)、滋賀大学、滋賀県立大学、環境省、滋賀県・同教育委員会、積水化学工業株式会社、近江八幡市・安土町の各小中学校、沖島21世紀夢プラン推進委員会、びわこ揚水土地改良区、株式会社近江兄弟社、近江八幡ロータリークラブ、びわ湖八幡ロータリークラブ、国際ソロプチミスト近江八幡、近江八幡商工会議所、Field Assistant Network(FAN)、法政大学人間環境学部菊地邦雄研究室




●「トキの野生復帰支援」CEPA活動、今秋からスタートの見通し●

 ラムサールセンター(RCJ)が、オーストラリアのワインメーカー「バンロックステーションワイン」の資金助成「トキの野生復帰支援CEPA活動」について、バンロックステーションワインとの合同会議が、8月27日、東京で開催されました。バンロックステーションからマネジャーのトニー・シャーレイさん、総代理店のコンステレーションワインズ・ジャパン代表のクレイグ・キャンベルさん、地域担当のピーター・ディクソンさん、RCJからは「トキを再び大空に」「第2のトキをつくらない」を合言葉に「トキと湿地専門委員会」メンバーの磯崎博司さん、武者孝幸さん、名執芳博さん、中村玲子さんが出席。環境省野生生物課の中村昌孝さんも同席されました。
 会議では、今年から3年計画でスタートするトキと湿地CEPA活動を具体的にどう展開するかについて、詳細な意見交換と検討を行いました。そして翌28日には、オーストラリア大使公邸で大使招待による会食がセットされ、日本側代理店として追加資金提供を約束してくれた「ヤマヤ」の代表の方たちとの顔合わせもおこなわれました。
 バンロックステーションワインは、南オーストラリア州を流れるマレー川流域にある自社のブドウ畑内の湿地再生に成功し、そこがラムサール条約登録湿地に指定されているというユニークなワイン会社。自らラムサール湿地の管理をおこなうとともに、湿地センターとして一般にも開放しています。また、各地の湿地と湿地性の野生生物の保護のため、これまでオーストラリアはじめオランダ、フィンランド、ケニヤ、カナダなど10か国で60を超える湿地と生きもの保全プロジェクトに資金を提供しています。企業が湿地保全に主体的にかかわる先進的な取り組みが評価され、2002年のラムサールCOP8(バレンシア)で、ラムサール湿地保全賞を受賞しました。
 日本でのプロジェクト支援は今回が初めてで、RCJは、3年間の資金助成を基礎に、環境省が進めている日中協力事業のトキの人工増殖と野生復帰、その生息地となる水田をはじめとする湿地生態系の再生・保全の取り組みを、CEPA活動の側面から支援していきます。正式な契約は秋になる予定ですが、国際協力事業として、「トキを再び大空に」「第2のトキをつくらない」を合言葉に日本の生物多様性の回復をめざして、日本各地でのCEPA活動を展開していきます。
 なお、バンロックステーションワインとの会議にさきがけて8月23日、トキと湿地専門委員会がRCJで開催され、まず手始めに、今年11月25日、新潟で開催予定の「トキ野生復帰・日中国際シンポジウム(仮称)」の開催支援活動からこの「トキと湿地」プロジェクトをスタートさせることを決定しました。これについては改めて詳しくご案内します。


2007年10月6〜7日、KODOMOラムサール<宮島沼>湿地交流が北海道宮島沼(美唄市)で開催されます



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