ラムサール通信
2013年9月11日発行 第160号
今年度前半のラムサールセンター(RCJ)は、「ESDのためのKODOMOラムサール」関連活動が、6月の「エコライフ・フェア」、「雨竜沼湿原」、「ニューデリー国際交流・研修」、7月の「釧路湿原」、8月の「三方五湖」と連続しました。さらに「ラムサール釧路会議+20」の記念シンポ、「荒尾干潟ワイズユース検討会」開催への協力もあり、日本全国を襲った猛暑もものかはの忙しさでした。
9月の声を聴いて、ようやく落ち着きをとりもどし、3か月ぶりのラムサール通信発行となりました。これまで報告できていなかった活動や、これからの活動予定などをお届けします。
●ESDユネスコ世界会議1年前イベント●
「あいち・なごやESDフェスタin名古屋」に出展します
9月14日(土)~15日(日)、ESDユネスコ世界会議の1年前イベントとして「あいち・なごやESDフェスタin名古屋」が開催されます。ラムサールセンターはこの催しを応援し、「ESDのためのKODOMOラムサール」をいろいろな人に知ってもらうためのブースを出展します。 |
2013年6月5日(火)~6日(金)、インド・ニューデリーで「Post CBD_COP11 Seminar on Wetlans & Biodiversity Conservation and Role of Education for Sustainable Development」が開かれました。これは、RCJの友好NGOである「インド環境協会」(本部・ニューデリー)が地球環境基金の助成で進めている「『 CBD_COP11に貢献する「生物多様性保全のための湿地クラブ』活動」の一環としておこなったもので、ラムサールセンター、国連環境計画アジア太平洋事務所(UNEP/ROAP)、国連ユネスコ・インド事務所(UNESCO-India)、環境のための地球学習観測プログラムアジア太平洋地域事務所8GLOBE-AP」の協力で実施したもの。インド国内からは、ウダイプール湿地クラブの生徒20人とGLOBE参加校の生徒50人が、日本からは中海、宍道湖、円山川下流域・周辺水田、琵琶湖、藤前干潟などから3人の中学生(石田咲歩子さん、小椋翔大さん、日田琥珀さん)と4人の大学生(吾郷諒華さん、山本賢樹さん、岡田有加さん、古屋翔太さん)が参加。RCJから副会長の亀山保さん、事務局長の中村玲子さんが同行しました。
セミナーでは、インド、タイ、ネパールの専門家による講演、各湿地で活動する学生の活動発表をおこない、日本の参加者もそれぞれしっかりと英語で活動発表をおこないました。 |
7月4日(木)、アジアで初のラムサール条約締約国会議(釧路市)開催20周年を記念したシンポジウム「ラムサール釧路会議(COP5)+20」が東京・青山の国連大学で開催され、150人が参加しました。環境省、国連大学サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)、日本国際湿地保全連合(WI-J)、そしてRCJの共催で実現。ダニエル・ネイビットさん(ラムサール条約初代事務局長)、ラリー・メイソンさん(元米国魚類・野生生物局長、釧路会議副議長)をゲストに迎え、それぞれ「ラムサール条約の過去・現在・未来」、「釧路会議が米国における湿地保全やラムサール条約の実施に果たした役割」の基調講演。つづいて中島慶二さん(環境省自然環境局野生生物課長)、鈴木信さん(釧路市上下水道部長、元COP5担当者)、大畑孝二さん(日本野鳥の会チーフレンジャー)、小林聡史さん(釧路公立大学教授、元ラムサール条約事務局員)によるパネルディスカッションがおこなわれ、日本のラムサール条約実施の20年を振り返るとともに、これからの課題について議論がおこなわれました。 |
7月6日(土)~7日(日)「ESDのためのKODOMOラムサール<釧路湿原>」が、日本の第1号ラムサール条約湿地、北海道の釧路湿原で開催されました。琵琶湖(2人)、藤前干潟(2人)、谷津干潟(4人)、宮島沼(6人)、大沼(2人)、サロベツ原野(2人)、そして地元の釧路湿原(16人)の7つの条約湿地から34人の子どもが参加しました。今回は、1993年のラムサール条約第5回締約国会議(COP5)開催から20年にあたり、釧路市の「COP5釧路会議+20」記念事業に位置付けられての開催でした。 1日目、タンチョウと釧路湿原と人との関わりをテーマとしたプログラムは、まず釧路湿原を見渡せる北斗展望台、温根内の湿原の木道に行き、釧路湿原の広大さとヤチマナコなど湿原の構造や高層湿原の希少な植物などを観察し、生物多様性の豊かさと湿原のすばらしさを実感しました。 その後、鶴居村に移動し、地元酪農家の中尾さんから、タンチョウと釧路湿原と人との関わりについて話を聞きました。移動中のバスからもタンチョウを見ることができ、子どもはもちろん、引率の大人にも貴重なフィールドプログラムになりました。 夜のプログラムでは、班ごとに分かれ、釧路湿原の「宝」について話し合いました。議論しながら1つの班で6つの宝を選び、それをイラストにしました。夜9時をすぎても子どもたちの集中力は途切れず、班ごとで宝に合うキャッチコピーを考えました。 2日目は、それぞれ自分たちの湿地での活動発表と、釧路湿原の宝のポスターを完成させる子ども会議をおこないました。班ごとに選んだ宝とキャッチコピーを、34人全員で納得のいくまで話し合いました。なかでも、エゾシカをめぐっては、「湿原のかわいい宝物だ」「環境に影響を与える害獣だ」と賛成、反対の白熱した議論がたたかわされ、会場の環境省釧路事務所や市民のみなさんもびっくり、感心して聞いていました。こうしてすてきなポスターができあがりました。ゲストのダニエル・ネイビッドさん(ラムサール条約初代事務局長)とラリー・メイソンさん(COP5の副議長を務めた元米国代表)からは、「こんな活発に子どもが発言する環境教育プログラムはみたことがない!」と、高い評価をいただきました。 キャッチコピーは「限りない豊かな自然の栄養をもらいながら生き物と人の命のリレー ずっとずっと走り続けよう!!」。そして6つの宝は、「タンチョウ」「湿原」「守る人々」「ツルがねる川」「多くの植物」「動物の声」でした。釧路湿原の素晴らしさが伝わるポスターになりました。 |
2013年8月9日(金)~11日(日)、福井県の三方五湖で、「ESDのためのKODOMOラムサール<三方五湖>」が開催されました。釧路湿原(2人)、円山川下流域・周辺水田(2人)、琵琶湖(5人)、東海丘陵湧水湿地群(1人)、そして地元の三方五湖(8人)と、5つのラムサール条約湿地から18人の子どもたちが参加しました。 |
「ESDのためのKODOMOラムサール<タイ>」(仮題)の開催日が2013年1月10日(金)~12日(日)に決定しました。2011年のチェンマイ、2012年のナコンサワンに続き、3回目のタイで開催するESD-KODOMOラムサールです。9月初旬には、事務局長の中村玲子さんと尾崎友紀さんが現地に行き、関係機関と打ち合わせをおこなう予定です。10月初めには募集を開始する予定です。 |
10月5~11日にかけて、ラムサールセンターのアジア会員のアマド・トレンティーノさん(国際環境法学会)、ビシュヌ・バンダリさん(ネパール湿地協会)、事務局長の中村玲子さん、上智大学博士課程の鈴木しいなさんが、ミャンマーの湿地保全の調査にいきます。日本経団連自然保護基金助成の「AWS活動の効果的促進のためのアジアのラムサール条約履行後進性地域の湿地調査・研究支援事業」の一環として実施されるもので、ラムサール条約に加入して日の浅いミャンマーの条約実施の現状の把握を目的とした第1回の調査です。政府、関係機関への表敬訪問、研究者やNGOへのヒアリングや湿地視察などをおこなう予定です。 |
RCJ副会長の岩崎慎平さん、事務局長の中村玲子さん、尾崎友紀さんが、9月6~7日、インド・ブバネシュワルでおこなわれる「南アジア地域NGOネットワーク会議」に参加します。この会議は、RCJとも関係の深い4つのアジアのNGO、「インド環境協会」(代表デッシュ・バンドウ)、「パリシュリ」(代表D.P.ダス)、「バングラデシュ・ポーシュ」(代表サノワ・ホセイン)、「ネパール湿地協会」(代表ビシュヌ・バンダリ)が中心になり、日本経団連自然保護基金の助成を受けての開催です。 |