ラムサール条約とは


(1)背景
  イランの首都テヘランから150キロほど北、カスピ海の湖畔にラムサールという小さな都市があります。ここで1971年に水鳥と湿地に関する国際会議が開かれ、「特に水鳥の生息地として重要な湿地に関する条約(The Convention on Wetlands of International Importance Especially as Waterfowl Habitat)」という条約が採択されました。一般には、会議の開かれた都市の名前にちなんで「ラムサール条約(Ramsar Convention)」と呼ばれています。地球的規模で自然資源の保全を目指した最初の条約です。


(2)目的と意義
 湿地は、魚や貝、鳥、獣など、さまざまな生物の生息環境です。特に渡り鳥にとっては、長旅の途中で羽を休め、次の飛行に必要なエネルギーである食物を与えてくれる、欠かすことのできない場所です。
 また、湿地は人間活動の影響を強く受けるところでもあります。湿地に流れ込む水は、工業排水や家庭排水などで汚染されやすく、土砂やヘドロも流れ込みます。都市に隣接した湿地は干拓されたり、埋め立てられて工業用地や宅地やゴミ捨て場に変わっています。これは、日本だけでなく、世界各地で見られることです。
 多くの生物にとって欠かすことのできない生態系でありながら、容易に破壊されてしまう湿地を、国際的に協力して保全することを目的として、ラムサール条約がつくられました。


(3)登録指定湿地
 ある国がラムサール条約に加入し、締約国となるには、国内にある湿地のうち少なくとも一カ所を指定し、条約事務局にある登録簿に登録しなければいけません。そして、締約国はその国の制度によって登録された湿地を保全していかなければなりません。
 日本政府は、湿地としての価値が高く、かつ国内の法制度で十分に保全されている湿地を登録湿地として指定しています。2000年7月までに11カ所が登録されました。


(4)賢明な利用(Wise Use)
 ラムサール条約は、湿地を厳格な保護地域にして、人の立ち入りを厳しく規制することを特に求めているわけではありません。条約の基本原則は、湿地の「賢明な利用(Wise Use)」です。
 湿地は、昔から人々に生活の糧を与えてきました。潮干狩でとれるアサリや湖で釣れる魚も湿地からの恵みです。その生態系と野生生物などの資源を子孫に伝えられるように守りながら、湿地からの恩恵をうけつつ利用することが賢明な利用であるといえます。たとえば伝統的狩猟・漁業は、その地で
 代々受け継がれてきた賢明な利用の一つといえるでしょう。適正に管理された観光利用もまた、賢明な利用の一つです。


(5)締約国会議
 ラムサール条約は、3年ごとに締約国会議を開催します。締約国会議には締約国の政府のほか、未締約国の政府、国際機関、NGOの代表が出席し、条約の改正、予算の承認などが審議されます。しかしそれだけではなく、世界の湿地の状況や保全活動に関する報告も重要なテーマになっています。湿地保全の専門家、担当者が一堂に集まって意見を交換しあう場でもあるのです。締約国はこの会議が開催される半年前までに自国の登録湿地の現状などをまとめたナショナルレポートを提出しなければなりません。このレポートにより、各国の登録湿地の保全状況が明らかになります。
 これまでに7回の締約国会議が開催され、第5回会議(1993年)は、アジアで初めて、北海道の釧路市で開催されました。次回会議は、今年の11月にスペイン・バレンシアで開催されます。


琵琶湖ラムサール研究会
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ラムサール条約事務局

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