アジア湿地シンポジウム2005
湿地の保全と貧困の克服をめざす新たなアプローチ
企画書
日時: | 2005年2月6〜9日(シンポジウムとエクスカーション) |
場所: | インド・オリッサ州ブバネシュワル市とチリカ湖(ラムサール登録湿地) |
目標: | 湿地の保全と賢明な利用を実現するためにあらゆるステークホルダーとの協力を強化し、広範な湿地保全パートナーシップを構築する。そしてアジアの人々の生活の向上をめざす。 |
目的: | 1)湿地保全についての先進的、革新的な知識、経験、ベストプラクティスを共有する。 |
2)政府、NGO、地域共同体、研究者、メディア、企業、産業、先住民の人々との間に広範かつ強力な湿地保全パートナーシップを構築する。 | |
3)あらゆるステークホルダーの意識と能力の向上を推進する。 | |
4)最新の研究成果をもとに、包括的な湿地マネジメントの最先端の情報、技術、知識そしてツールを共有する。 | |
5)湿地に暮らす人々の文化的価値に関する理解を深める。 | |
主催: | ラムサールセンター(RCJ)、インド・オリッサ州森林環境省、チリカ湖開発公社(CDA) |
共催: | インド国環境森林省、日本国環境省、ウェットランドインターナショナル(WI)、日本国際湿地保全連合(WIJ) |
後援: | 日本経団連自然保護基金、積水化学工業株式会社、株式会社リコー、財団法人北海道河川防災研究センター、独立行政法人国際協力保全機構(JICA)、財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)、ラムサール条約事務局 |
国際運営委員会(ISC) | ||
岩間徹 西南学院大学教授/ラムサールセンター会長(日本) 中村玲子 ラムサールセンター事務局長(日本) ビシュヌ・バンダリ 地球環境戦略研究機関(日本/ネパール) 磯崎博司 明治学院大学教授(日本) 小林聡史 釧路公立大学教授(日本) 安藤元一 東京農業大学助教授(日本) サンサニー・チューウ マヒドン大学助教授(タイ) アジ・パトナイク チリカ開発公社(インド) アマド・トレンティーノ 国際環境法協会(フィリピン) 辻井達一 国際湿地保全連合・日本委員会会長(日本) スンダリ・ラマクリシュナ 国際湿地保全連合・マレーシア代表(マレーシア) サノワ・ホセイン バングラデシュ・ポーシュ会長(バングラデシュ) アセ・サヤカ 国際湿地保全連合・タイ代表(タイ) チェン・ケリン 国際湿地保全連合・中国代表(中国) ギジェ・ジュー プサン国立大学教授(韓国) 武者孝幸 ラムサールセンター(日本) セ・サルマ・ラウィ マレーシア科学大学助教授(マレーシア) バーナード・オカラハン ベトナム・ホンムン海洋保護区(オーストラリア) ウェンヤン・チャウ ウェットランド・タイワン代表(中国・タイワン) レイ・ガンチャン ラムサール条約事務局アジア担当アドバイザー(スイス/中国) マショー・マンソー マレーシア科学大学生物学部長(マレーシア) ウーシン・リー ソウル国立大学教授(韓国) |
背景: 1992年、ラムサールセンターと環境庁ほかの共催で、第1回アジア湿地シンポジウムが開催され、アジアを中心に世界各国から300人を超える行政担当者、専門家、研究者、NGO、市民などが参加して、アジア地域の湿地保全とラムサール条約への参加をうながし、広範な湿地保全ネットワークの基盤を築くことができました。そして2001年、第2回アジア湿地シンポジウムがマレーシアのペナンで400人以上の人々が参加して釧路での第5回締約国会議以降の10年間を総括し、湿地保全パートナーシップのいっそうの強化を呼びかけたペナン声明が採択されました。 ペナン声明では、各国のあらゆるステークホルダーがシンポジウム後の活動の経過、成果を見守り、湿地の保全と持続可能な利用を具体的な活動として実現するよう訴え、アジア湿地シンポジウムの定期的な開催を勧告しました。 この第3回「アジア湿地シンポジウム2005(インド・チリカ湖)」はペナン声明の勧告を受け、いまだ不十分なアジアの湿地保全をめぐる状況の改善とそこに依拠して暮らす人々の貧困の解消をめざす新たなアプローチを探る、広範なセクターの参加をうながす、初の南西アジア地域における国際湿地会議として開催されます。なお、このシンポジウムの成果をもとに2005年11月、ウガンダでのCOP9へのアジアからの貢献をめざすものです。 |
内容: | |
(1)基調講演 (2)発表と討論 (3)ポスター・セッション (4)特別イベント、交流会 (5)各グループによる議論 (6)モントルーレコードを解決したチリカ湖のエクスカーション視察 |
分科会テーマ: | |
分科会1: | 湿地の賢明な利用のための環境教育、能力向上 |
分科会2: | 湿地保全パートナーシップとネットワークの構築 |
分科会3: | 湿地の文化的価値と持続可能な利用 |
分科会4: | 地域共同体による湿地生態系の管理 |
分科会5: | 湿地の復元とステークホルダーの参加 |
プログラム: | |
1日目: | チリカ湖エクスカーション(新しい湖口開削によって生態系を劇的に回復(モントルーレコード除外)した湖とフラミンゴはじめ100万羽の水鳥とガンジスカワイルカのウォッチング) |
2日目: | 開会、全体会議、分科会1 |
3日目: | 分科会2、3、4 |
4日目: | 分科会5、決議・勧告の採択、閉会 |
分科会1:湿地の賢明な利用のための環境教育と能力向上 (コーディネーター:ビシュヌ・バンダリ) |
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環境教育と地域住民の能力向上は湿地資源の持続可能な利用を実現するためには欠かせません。この分科会では、パートナーシップや協働関係を構築するための新しい方法、効果的なリーダーシップ、環境教育・アウェアネスの新しいモデル等について、世界各地ですでに行われている具体的かつ先駆的な事例をもとに、議論を深めていきます。そして、環境教育や住民の意識・能力向上のためのイノベイティブな手法を探ることをめざします。 またこれは学際的な分科会であり、湿地の専門家、活動家、ファシリテーター等に新しい方法論、ツールや技術を提供することにより、参加者自らが能力を向上させることも目的としています。こうした活動に日々携わり、また論文を発表されている人たちの参加と経験や情報をご提供ください。 |
分科会2: 湿地保全パートナーシップとネットワーク構築のための新たなアプローチ (コーディネーター:スンダリ・ラマクリシュナ) |
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湿地に関わる人々の間で、適切かつ強力なパートナーシップネットワークを構築することは、湿地の保全と賢明な利用を推進していくうえできわめて重要です。この分科会では、どうすれば効果的に適切な相互協力関係をつくり、それをもとに革新的なパートナーシップを構築していけるのか、議論を深めていきます。そうした経験をもち、論文を発表されている人たちの参加と情報や提案を。分科会で扱う内容は幅広く、ベストプラクティス、新しいモデル、過去の教訓、今後の展望等、さらにはパートナーシップの構築に失敗したという事例、情報についても検討します。そのような情報をお持ちの人たちの参加を。 |
分科会3:湿地の文化的価値と持続可能な利用 (コーディネーター:アマド・トレンティーノ) |
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湿地と共に生きる人々の伝統的な文化がこの分科会のテーマとなります。近年実施されている湿地保全政策の多くは、一方的に湿地を保護し、もともとその地域で湿地と共に暮らしてきた人々の歴史的、文化的な営みが排除されるケースも見られます。湿地における人々の文化的な営みとは何か、湿地の伝統的な利用法とは何か、またそれらは今後の湿地の保全や賢明な利用にどのようにつながってくるのか、そうした問題を議論します。実際の湿地管理計画において、湿地の文化的価値が組み込まれた事例を発表できる方は歓迎されます。この分科会では信仰や宗教、慣習、社会組織の構成、伝統的自然資源利用のシステム、土地利用のパターン、文化的に重要な場所、神聖な場所、儀式的行事、言語、慣習的法制度、政治的構成等、湿地と文化に関する幅広いトピックを取り上げます。 |
分科会4:地域共同体による湿地生態系の管理 (コーディネーター:サノワ・ホセイン) |
湿地は地域社会の生活の糧となる様々な恵みをもたらします。そうした地域に暮らす人々は、湿地に依存し、湿地と密着した生活をおくっているが故に、湿地の保全や管理において大きな役割を担っています。しかし、そうした人々が社会から追いやられ、彼らの知恵や役割が軽視されていることも少なくありません。その一方、地元住民や先住民族が主体となり、地域共同体による湿地生態系の持続可能な管理が成功している事例もあります。長期的に湿地の持続可能な利用を継続させていくためにも、地元住民が意思決定のプロセスに参加できる、適切な行政システムを維持する必要があります。このような地域共同体による湿地管理に携わった経験のある人、こうしたテーマで研究されている人の参加によって、共に問題解決のためのイノベイティブなアプローチを探ります。 |
分科会5:湿地の復元とステイクホルダーの参加 (コーディネーター:アジ・パトナイク) |
世界各国における湿地の消失、そしてそれにともない近年強まりつつある湿地の価値、機能への認識、理解は、人々の湿地復元に対する関心を高めてきました。この分科会では、一度悪化してしまった湿地生態系、環境を水文学、生物地球化学、適応、流域管理、モニタリング、調査、住民参加等によって復元していくにはどうすべきか、その具体的方法について探ります。湿地の復元に携わったことのある人、論文を書かれた人、特に成功、失敗事例を発表できる人たちの参加を。 |
AWS2005公式サイト www.aws2005.com