Chilika Lake


 チリカ湖はインド東部、カルカッタの南にあるベンガル湾に面したインド最大のラグーン(汽水湖)です。面積はおよそ日本の琵琶湖の2倍。1981年にラムサール条約の登録湿地になりました。水鳥の越冬地、イラワジカワイルカの生息地としても知られる生物多様性豊かな湖です。
 周辺には132の漁村があり、15万人の住民のうち70%が漁業によって生計を立てています。しかし1980年代以降、上流部の森林伐採による土砂流入を発端として、湖は浅くなり(最大水深4メートル)、湖口が埋まって狭くなり、その結果、淡水化が進み、漁獲量が激減し、貧困などの深刻な社会問題が発生しました。生態系の悪化でラムサール条約からは改善勧告(モントルーレコード記載)を受ける状況となりました。
 地元のオリッサ州政府はチリカ開発公社を設立し、科学調査を行い、2000年には新しい湖口を開削するなど必死の保全活動を進めています。ラムサールセンターは地元のNGOパリシュリと協力して、環境アウェアネスと地域住民の主体的参加を促すさまざまな活動を地球環境基金(JFGE)の助成を受けて進めています。

インド・チリカ湖

緯 度:


所在地:


面 積: 

北緯19°28'-54'
東経85°06'-38'

インド・オリッサ州東端、ベンガル湾沿い


 9万6000ha(乾季)
11万6500ha(雨季


湖内には、大小さまざまな島が点在します。写真奥はフラミンゴの群れです。年間100万羽以上の渡り鳥が越冬する欧米バードウォッチャーあこがれのところです。

北海道のサロマ湖をモデルに、2000年9月に開削された湖口。ベンガル湾から大量の海水が流出入し、豊かな生態系を育む適度な塩分濃度が回復し、湖の漁獲量は飛躍的に増加しました。

浅い湖内のいたるところで、こうした伝統的な漁業が行われています。

とくにエビやカニ(マッドクラブ)は豊富で養殖も行われています。しかし、保冷設備などが不十分で、貧困問題とあわせて大きな課題となっています。

地元NGOパリシュリによって建築中の環境教育アウェアネスセンター(CEAE)。地域の環境教育活動の核として、プロジェクトエリアの4村に1カ所ずつ設置されています。

2002年1月にラムサールセンターと共催した環境アウェアネスキャンペーンには、多くの村人が集まりました。
子どもたちはチリカ湖の生活をテーマにした劇を演じました。

写真・文: 米澤 文

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